新型コロナ感染症と消化器診療
2020年11月06日 06:55
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JDDW 2020 特別企画
本日 14:00〜17:00 第10会場
司会 | 三輪 洋人氏 兵庫医大・消化器内科 |
持田 智氏 埼玉医大・消化器内科・肝臓内科 | |
演者 | 脇田 隆字氏 国立感染症研究所 |
田村 格氏 自衛隊佐世保病院 | |
金井 隆典氏 慶應義塾大・消化器内科 | |
森下 竜一氏 大阪大大学院・臨床遺伝子治療学 | |
伊佐山 浩通氏 順天堂大・消化器内科 | |
四柳 宏氏 東京大医科学研究所・先端医療研究センター感染症分野 | |
入澤 篤志氏 獨協医大・消化器内科 | |
日比 泰造氏 熊本大・小児外科・移植外科 | |
加藤 勝章氏 宮城県対がん協会がん検診センター |
消化器診療においても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は重要なテーマとなっている。本セッションは、消化器医が最新の知見に基づいてCOVID-19を正しく理解し、明日からの診療において検査や治療がより適切に行えるよう企画された。
日本人に重症者が少ない謎に迫る
本セッションは2部で構成。1部では、COVID-19について最前線の研究成果を幅広く紹介する。演者はいずれも日本を代表する研究者で、司会の三輪洋人氏は「これだけの顔ぶれから、最新情報が聞けるのは得難い機会だ」と述べる。
脇田隆字氏による基調講演ではCOVID-19の疫学状況を踏まえた対策を展望し、田村格氏は臨床の諸問題を考察する。日本人における重症者の少なさはCOVID-19の大きな謎だが、「コロナ制圧タスクフォース」の研究統括責任者である金井隆典氏は進行中のゲノム解析研究を踏まえ、謎の解明に迫る知見を報告。COVID-19終息に不可欠なワクチンについては、森下竜一氏から最新の開発状況と臨床応用への展望が示される。
消化器診療の場における感染防止策を考える
2部では消化器領域に特化し、COVID-19関連の問題が検討される。COVID-19流行拡大後、JDDW構成の各学会は指針や声明を発表しており、感染状況やエビデンスの蓄積に応じアップデートを繰り返してきた(図)。各学会から選出された5人の演者がそれらの取り組みを紹介し、消化器診療におけるCOVID-19感染防止策を議論する。
COVID-19は呼吸器感染症だが、消化器症状を呈する患者も少なくない。そのため、まずは消化器に出現する症状を知る必要がある。さらに、COVID-19患者や疑い例の診療を進める上では、エアロゾル感染や糞口感染に対する医療者側の予防策も求められる。三輪氏は「どのような検査や治療に感染リスクがあるかを知り、それを回避して病院を守るための方策を追究したい」と訴える。
感染第一波の段階では、消化器診療の大幅な縮小が余儀なくされたが、知見と経験を積む中で、現在は多くの医療機関が通常の診療体制に戻りつつある。日本消化器病学会では、検査や治療の適応について①COVID-19感染の流行状況②症例ごとのトリアージ③個々の症例の感染リスク−の3点に応じた指針を発表している。こうした臨機応変の柔軟な感染対策のあり方も、2部での注目点となる。
総合討論では"実際のところ"を掘り下げる
総合討論では、2部の演者から1部の演者への質疑、2部の演者同士の意見交換などフロアも交えた活発な議論が展開される予定だ。三輪氏は「より具体的で実践的な話題を取り上げ、"実際のところ"を掘り下げたい」と述べる。「学会などの指針は存在しても、運用の仕方は施設ごとに特色があるはず。消化器医同士だからこそ分かり合える機微を共有することで、今後の感染対策に役立てたい」という。
同氏は「COVID-19に関する情報は巷にあふれ、さまざまな学会でCOVID-19関連の企画が行われているが、消化器医にとって本セッションは最高の学びの場になるだろう」と多数の参加を呼びかけている。
インタビュー記事一覧
特別企画
新型コロナ感染症と消化器診療 11月6日(金)14:00~17:00 第10会場
新型コロナ感染症と消化器診療
[司会]
三輪 洋人氏(兵庫医大・消化器内科)
持田 智氏(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科)
[基調講演]
COVID-19の我が国における疫学状況と対応(脇田 隆字氏 国立感染症研究所)
[講演]
日本におけるCOVID-19の臨床(田村 格氏 自衛隊佐世保病院)
[講演]
日本人におけるCOVID-19重症化が少ない理由(金井 隆典氏 慶應義塾大・消化器内科)
[講演]
SARS Cov2 virus ワクチン開発の現況と将来(森下 竜一氏 大阪大大学院・臨床遺伝子治療学)
[日本消化器病学会]
COVID-19パンデミックにおける消化器専門医の役割(伊佐山 浩通氏 順天堂大・消化器内科)
[日本肝臓学会]
COVID-19への対応-日本肝臓学会の立場から-(四柳 宏氏 東京大医科学研究所・先端医療研究センター感染症分野)
[日本消化器内視鏡学会]
COVID-19拡大下における消化器内視鏡診療(入澤 篤志氏 獨協医大・消化器内科)
[日本消化器外科学会]
COVID-19と消化器外科診療(日比 泰造氏 熊本大・小児外科・移植外科)
[日本消化器がん検診学会]
消化器がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策について(加藤 勝章氏 宮城県対がん協会がん検診センター)
統合プログラム
11月5日(木)統合1(ワークショップ) 9:00~12:00 第8会場
消化器疾患診療におけるパラダイムシフト:第4次産業革命と20年後の消化器病学
近年、消化器疾患の疾病構造は大きく変化し、技術革新と相まってパラダイムシフトが生じた。人工知能(AI)、IoTなどによる第4次産業革命が消化器疾患診療にもたらす影響を考察する。
[司会]
田尻 久雄氏(東京慈恵会医大・先進内視鏡治療研究講座)
下瀬川 徹氏(みやぎ県南中核病院)
11月5日(木)統合2(ワークショップ) 14:30~17:00 第6会場
胆道・膵管の上皮内腫瘍(2019年WHO消化器腫瘍分類改訂をうけて)
2019年に改訂された世界保健機関(WHO)消化器腫瘍分類に基づき、胆道・膵管上皮内腫瘍に関する最新の基礎および臨床研究を報告する。
[司会]
大塚 将之氏(千葉大大学院・臓器制御外科学)
入澤 篤志氏(獨協医大・消化器内科)
11月6日(金)統合3(パネルディスカッション) 9:00~12:00 第6会場
高齢者の消化器病診療の適応と妥当性
急速な高齢化の進展に伴い、特別な配慮が必要となる高齢者の消化器疾患も増加している。消化器病診療における青壮年者と高齢者の相違点を明らかにし、対策について議論する。
[司会]
村上 和成氏(大分大・消化器内科)
田邉 稔氏(東京医歯大大学院・肝胆膵外科学)
11月6日(金)統合4(ワークショップ) 14:00~17:00 第6会場
ゲノムを用いた消化器疾患の治療戦略
昨今のゲノム研究の著しい進歩により、消化器疾患に対してもprecision medicineが期待されるようになった。ゲノム研究を用いた新しい治療戦略を議論する。
[司会]
茶山 一彰氏(広島大大学院・消化器・代謝内科学)
吉田 和弘氏(岐阜大大学院・腫瘍外科学)
11月7日(土)統合5(パネルディスカッション) 9:00~12:00 第6会場
マイクロバイオータ(腸内細菌)と全身疾患
自己免疫疾患や発がんなどへの関与が指摘される腸内細菌叢について、肝胆膵をはじめとする消化器疾患、さらには全身性疾患との関係について考察する。
[司会]
安藤 朗氏(滋賀医大・消化器内科)
袴田 健一氏(弘前大・消化器外科)
11月7日(土)統合6(シンポジウム) 14:00~17:00 第6会場
胃・食道接合部領域の諸問題
最近注目を集めている胃・食道接合部(GEJ)領域の疾患について、定義、診断方法、Helicobacter pylori感染との関連、発がんリスクといったトピックについて議論する。
[司会]
瀬戸 泰之氏(東京大大学院・消化管外科学)
後藤田 卓志氏(日本大・消化器肝臓内科)
Strategic International Session
11月6日(金)ST-S1(シンポジウム) 9:00~12:00 第9会場
JSGE・AGA Joint Symposium:疾患病態における腸内細菌の役割(JSGE・AGA Joint Symposium:Cause and effect of microbiota for health and diseases)
ヒトの腸内には約1,000種類、100兆個にも及ぶ細菌が生息しており、それらの集団が腸内細菌叢(マイクロバイオータ)を形成している。本セッションでは、腸内細菌叢が宿主細胞の機能に及ぼす影響や、炎症性腸疾患(IBD)をはじめ多様な疾患との関係について議論する。
[司会]
金井 隆典氏(慶應義塾大・消化器内科)
竹田 潔氏(大阪大大学院・免疫制御学)
Ramnik Xavier氏(Harvard University)
Eugene B. Chang氏(The University of Chicago)
[Discussant]
垣内 伸之氏(京都大・腫瘍生物学)
根本 泰宏氏(東京医歯大大学院・消化器病態学)
11月6日(金)ST-S2(シンポジウム) 14:00~17:00 第9会場
JSH・AASLD Joint Symposium:肝癌:サーベイランスと治療(JSH・AASLD Joint Symposium:Surveillance and treatment of hepatocellular carcinoma)
肝がんの危険因子として、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、アルコール摂取が知られている。肝がんの死亡率を抑制するには早期の発見と局所療法施行が重要だが、早期に診断される症例の少なさが課題となっている。近年の分子標的治療の進歩も踏まえ、肝がんの効果的な治療戦略の再構築を議論する。
[司会]
竹原 徹郎氏(日本肝臓学会・理事長)
Ray Kim氏(Stanford University Medical Center)
11月7日(土)ST-S3(シンポジウム) 9:00~11:00 第9会場
大腸癌に対する新たな診断,治療戦略(New diagnostic and treatment approach for the colorectal cancer)
最近の集学的治療と診断法の向上により、大腸がんの治療戦略は劇的に変化している。直腸がんではさまざまな術前化学療法の新規レジメンを検証する臨床試験が進行している他、非手術的管理による臓器温存術(watch and wait)が注目されている。本セッションでは、大腸がんの診断と治療における革新的なアプローチに焦点を当てる。
[司会]
内藤 剛氏(北里大・下部消化管外科)
小西 毅氏(University of Texas MD Anderson Cancer Center)
11月7日(土)ST-PD1(パネルディスカッション) 14:00~17:00 第9会場
日米における内視鏡医療の相違-日本の消化器内視鏡学会に期待すること-(Bridging Japan and the US in the gastrointestinal endoscopy-The expectations for JGES-)
米国消化器内視鏡学会(ASGE)のRobert Hawes氏、世界内視鏡学会(WEO)会長のFabian Emura氏をお迎えし、日本消化器内視鏡学会への期待をご講演いただく。また、米国で活躍する日本人内視鏡医を交え、日米の相違や今後の消化器内視鏡医療の展望について議論し、若い世代の内視鏡医に向けてメッセージを発信する。
[司会]
田尻 久雄氏(東京慈恵会医大・先進内視鏡治療研究講座)
河合 隆氏(東京医大・消化器内視鏡学)
[コメンテーター]
勝呂 麻弥氏(東京医大・消化器内科)
Philip Wai Yan Chiu 氏(Department of Surgery, Faculty of Medicine, The Chinese University of Hong Kong)
JDDW 2020 女性医師・研究者プログラム 11月6日(金)14:00~17:00 第13会場
女性医師の選択?ジェネラリストかスペシャリストか -新専門医制度に向けて
[司会]
佐々木 裕氏(長崎国際大)
名越 澄子氏(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)
[演者]
● GeneralityとSpecialtyとの有機的連携(佐々木 裕氏 長崎国際大)
● 憧れの消化器外科専門医・スペシャリストを目指して(高須 千絵氏 徳島大・消化器・移植外科)
● 新専門医制度での女性スペシャリスト育成の課題(岡田 英理子氏 東京医歯大・臨床医学教育開発学・総合教育研修センター)
● 消化器内科のジェネラリストを目指して(小林 奈津子氏 健和会病院・消化器内科)
● 食道内視鏡医を目指して(藤原 純子氏 防府消化器病センター・消化器内科)
● 女性医師キャリア形成における専門医取得の意義~開業医の立場より~(山田 裕希氏 林田クリニック)
第20回医療セミナー 11月7日(土)9:00~12:00 第13会場
働き方改革への取り組み
[司会]
小池 和彦氏(東京大大学院・消化器内科学)
森 正樹氏(九州大大学院・消化器・総合外科学)
[演者]
● 医師の働き方改革の制度設計(加藤 琢真氏 厚生労働省・医政局医事課)
● 大学病院における医師の働き方改革について(石丸 成人氏 文部科学省・高等教育局医学教育課)
● 地方の大学病院,消化器病診療科の立場から(日浅 陽一氏 愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学)
● 外科医の働き方改革に向けての取り組み(馬場 秀夫氏 熊本大大学院・消化器外科学)
● 消化器内視鏡学会の立場から ―女性内視鏡医キャリアサポートWGの活動を含めて―(中村 真一氏 東京女子医大・消化器内科)
● 肝臓学会の立場,および女性医師の立場から(飯島 尋子氏 兵庫医大・消化器内科)
● 公的病院・研究所運営および産業保健推進の立場から(大西 洋英氏 労働者健康安全機構)