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第28回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2020)

好酸球性上部消化管疾患の基礎と臨床

2020年11月06日 06:55

5名の医師が参考になったと回答 

ワークショップ10 提案:日本消化器病学会

本日9:30〜12:00 第7会場

司会 飯島 克則氏 秋田大大学院・消化器内科学
郷田 憲一氏 獨協医大病院・消化器内視鏡センター
演者 阿部 靖彦氏 山形大附属病院・光学医療診療部
葛本 琢哉氏 大阪市立大大学院・消化器病態学
保坂 浩子氏 群馬大・消化器・肝臓内科
室井 航一氏 名古屋大・消化器内科
渡部 直樹氏 岐阜市民病院・病理検査
相澤 茂幸氏 奈良県西和医療センター・消化器内科
芦谷 啓吾氏 埼玉医大・総合診療内科
松本 啓志氏 川崎医大・消化管内科
特別発言 天野 祐二氏 新東京病院・内視鏡センター

 過度に良好な衛生環境や食生活の欧米化を背景に、日本ではアレルギー性疾患の罹患率が上昇している。消化器領域においては2000年ごろから好酸球性消化管障害(GEIDs)が欧米で急増し、近年は日本でも患者数が増えているが、その病態はいまだ不明点が多い。司会の飯島克則氏は、本セッションについて「GEIDsの診療上の課題を整理し、診断率の向上が見込める内視鏡および生検の技術についても学べるよう企画した」と話す。

特徴的な内視鏡所見があっても臨床症状がないEGE例も

 GEIDsは、好酸球性食道炎(EoE)と好酸球性胃腸炎(EGE)に大別される。いずれにおいても、食物抗原で誘発される2 型ヘルパーT細胞(Th2)がIL-5、IL-13などのサイトカインを亢進。消化管に分布する好酸球を活性化させて炎症を惹起し、機能不全に至る。

 日本では、EoE例に比べEGE例が多いのに対し、欧米ではEGEはまれとされている。GEIDsの診断は、好酸球による消化管組織への高度な浸潤に伴う臨床症状と病理所見による炎症に基づいて行うため、生検の精度向上に不可欠な画像強調内視鏡(IEE)や拡大内視鏡の検討が進んでいる。EoEに特徴的な内視鏡所見として、食道内の①縦走溝②白斑③ring④粘膜浮腫−がある。本セッションでは、阿部靖彦氏がEoE例に対するIEEの診断能について報告する。

 しかし、EoE例では内視鏡所見が認められるにもかかわらず、つかえ感や嚥下障害などの臨床症状を伴わない症例も存在する。また、近年、食道粘膜層の炎症と筋層の運動機能低下との関連性が示され、EoEとアカラシアなどの食道運動異常との関連が注目されている()。そこで、保坂浩子氏が臨床症状のないEoE例における食道内圧測定(HRM)所見と症状の関連を、室井航一氏がボノプラザン投与前後の変化をHRMで評価した成績を発表する。また、EoEの初期治療としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)が推奨されているが、葛本琢哉氏はボノプラザンの有効性についてPPIと比較した観察研究の結果を報告する。

jddw2020_no2_p2_fig1.jpg

 EoEの確定診断には、食道粘膜の生検病理組織内で好酸球数15個/HPF以上の検出が必須である。渡部直樹氏はdirect fast scarlet(DFS)染色の有用性、適切な検体採取部位などを発表する。

 一方、EGEはEoEのように特徴的な内視鏡所見に乏しく、診断は生検による病理所見などで行う。相澤茂幸氏と芦谷啓吾氏はEGE例に対する生検所見の検討結果を報告する。また松本啓志氏はGEIDs例における食物や環境中の抗原陽性率、他のアレルギー疾患合併率を含む臨床的・病理学的特徴を後ろ向きに検討した結果を発表する。GEIDs全体をまとめた特別発言は天野祐二氏が行う。

 飯島氏は「本ワークショップで得た知見を、GEIDs例が増加している日本の日常臨床に生かしてほしい」と述べ、来場・聴講を呼びかけている。

特別企画

新型コロナ感染症と消化器診療 11月6日(金)14:00~17:00 第10会場

新型コロナ感染症と消化器診療

[司会]
三輪 洋人氏(兵庫医大・消化器内科)
持田 智氏(埼玉医大・消化器内科・肝臓内科)

[基調講演]
COVID-19の我が国における疫学状況と対応(脇田 隆字氏 国立感染症研究所)
[講演]
日本におけるCOVID-19の臨床(田村 格氏 自衛隊佐世保病院)
[講演]
日本人におけるCOVID-19重症化が少ない理由(金井 隆典氏 慶應義塾大・消化器内科)
[講演]
SARS Cov2 virus ワクチン開発の現況と将来(森下 竜一氏 大阪大大学院・臨床遺伝子治療学)

[日本消化器病学会]
COVID-19パンデミックにおける消化器専門医の役割(伊佐山 浩通氏 順天堂大・消化器内科)
[日本肝臓学会]
COVID-19への対応-日本肝臓学会の立場から-(四柳 宏氏 東京大医科学研究所・先端医療研究センター感染症分野)
[日本消化器内視鏡学会]
COVID-19拡大下における消化器内視鏡診療(入澤 篤志氏 獨協医大・消化器内科)
[日本消化器外科学会]
COVID-19と消化器外科診療(日比 泰造氏 熊本大・小児外科・移植外科)
[日本消化器がん検診学会]
消化器がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策について(加藤 勝章氏 宮城県対がん協会がん検診センター)

統合プログラム

11月5日(木)統合1(ワークショップ) 9:00~12:00 第8会場

消化器疾患診療におけるパラダイムシフト:第4次産業革命と20年後の消化器病学

近年、消化器疾患の疾病構造は大きく変化し、技術革新と相まってパラダイムシフトが生じた。人工知能(AI)、IoTなどによる第4次産業革命が消化器疾患診療にもたらす影響を考察する。

[司会]
田尻 久雄氏(東京慈恵会医大・先進内視鏡治療研究講座)
下瀬川 徹氏(みやぎ県南中核病院)

11月5日(木)統合2(ワークショップ) 14:30~17:00 第6会場

胆道・膵管の上皮内腫瘍(2019年WHO消化器腫瘍分類改訂をうけて)

2019年に改訂された世界保健機関(WHO)消化器腫瘍分類に基づき、胆道・膵管上皮内腫瘍に関する最新の基礎および臨床研究を報告する。

[司会]
大塚 将之氏(千葉大大学院・臓器制御外科学)
入澤 篤志氏(獨協医大・消化器内科)

11月6日(金)統合3(パネルディスカッション) 9:00~12:00 第6会場

高齢者の消化器病診療の適応と妥当性

急速な高齢化の進展に伴い、特別な配慮が必要となる高齢者の消化器疾患も増加している。消化器病診療における青壮年者と高齢者の相違点を明らかにし、対策について議論する。

[司会]
村上 和成氏(大分大・消化器内科)
田邉 稔氏(東京医歯大大学院・肝胆膵外科学)

11月6日(金)統合4(ワークショップ) 14:00~17:00 第6会場

ゲノムを用いた消化器疾患の治療戦略

昨今のゲノム研究の著しい進歩により、消化器疾患に対してもprecision medicineが期待されるようになった。ゲノム研究を用いた新しい治療戦略を議論する。

[司会]
茶山 一彰氏(広島大大学院・消化器・代謝内科学)
吉田 和弘氏(岐阜大大学院・腫瘍外科学)

11月7日(土)統合5(パネルディスカッション) 9:00~12:00 第6会場

マイクロバイオータ(腸内細菌)と全身疾患

自己免疫疾患や発がんなどへの関与が指摘される腸内細菌叢について、肝胆膵をはじめとする消化器疾患、さらには全身性疾患との関係について考察する。

[司会]
安藤 朗氏(滋賀医大・消化器内科)
袴田 健一氏(弘前大・消化器外科)

11月7日(土)統合6(シンポジウム) 14:00~17:00 第6会場

胃・食道接合部領域の諸問題

最近注目を集めている胃・食道接合部(GEJ)領域の疾患について、定義、診断方法、Helicobacter pylori感染との関連、発がんリスクといったトピックについて議論する。

[司会]
瀬戸 泰之氏(東京大大学院・消化管外科学)
後藤田 卓志氏(日本大・消化器肝臓内科)

Strategic International Session

11月6日(金)ST-S1(シンポジウム) 9:00~12:00 第9会場

JSGE・AGA Joint Symposium:疾患病態における腸内細菌の役割(JSGE・AGA Joint Symposium:Cause and effect of microbiota for health and diseases)

ヒトの腸内には約1,000種類、100兆個にも及ぶ細菌が生息しており、それらの集団が腸内細菌叢(マイクロバイオータ)を形成している。本セッションでは、腸内細菌叢が宿主細胞の機能に及ぼす影響や、炎症性腸疾患(IBD)をはじめ多様な疾患との関係について議論する。

[司会]
金井 隆典氏(慶應義塾大・消化器内科)
竹田 潔氏(大阪大大学院・免疫制御学)
Ramnik Xavier氏(Harvard University)
Eugene B. Chang氏(The University of Chicago)

[Discussant]
垣内 伸之氏(京都大・腫瘍生物学)
根本 泰宏氏(東京医歯大大学院・消化器病態学)

11月6日(金)ST-S2(シンポジウム) 14:00~17:00 第9会場

JSH・AASLD Joint Symposium:肝癌:サーベイランスと治療(JSH・AASLD Joint Symposium:Surveillance and treatment of hepatocellular carcinoma)

肝がんの危険因子として、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、アルコール摂取が知られている。肝がんの死亡率を抑制するには早期の発見と局所療法施行が重要だが、早期に診断される症例の少なさが課題となっている。近年の分子標的治療の進歩も踏まえ、肝がんの効果的な治療戦略の再構築を議論する。

[司会]
竹原 徹郎氏(日本肝臓学会・理事長)
Ray Kim氏(Stanford University Medical Center)

11月7日(土)ST-S3(シンポジウム) 9:00~11:00 第9会場

大腸癌に対する新たな診断,治療戦略(New diagnostic and treatment approach for the colorectal cancer)

最近の集学的治療と診断法の向上により、大腸がんの治療戦略は劇的に変化している。直腸がんではさまざまな術前化学療法の新規レジメンを検証する臨床試験が進行している他、非手術的管理による臓器温存術(watch and wait)が注目されている。本セッションでは、大腸がんの診断と治療における革新的なアプローチに焦点を当てる。

[司会]
内藤 剛氏(北里大・下部消化管外科)
小西 毅氏(University of Texas MD Anderson Cancer Center)

11月7日(土)ST-PD1(パネルディスカッション) 14:00~17:00 第9会場

日米における内視鏡医療の相違-日本の消化器内視鏡学会に期待すること-(Bridging Japan and the US in the gastrointestinal endoscopy-The expectations for JGES-)

米国消化器内視鏡学会(ASGE)のRobert Hawes氏、世界内視鏡学会(WEO)会長のFabian Emura氏をお迎えし、日本消化器内視鏡学会への期待をご講演いただく。また、米国で活躍する日本人内視鏡医を交え、日米の相違や今後の消化器内視鏡医療の展望について議論し、若い世代の内視鏡医に向けてメッセージを発信する。

[司会]
田尻 久雄氏(東京慈恵会医大・先進内視鏡治療研究講座)
河合 隆氏(東京医大・消化器内視鏡学)

[コメンテーター]
勝呂 麻弥氏(東京医大・消化器内科)
Philip Wai Yan Chiu 氏(Department of Surgery, Faculty of Medicine, The Chinese University of Hong Kong)

JDDW 2020 女性医師・研究者プログラム 11月6日(金)14:00~17:00 第13会場

女性医師の選択?ジェネラリストかスペシャリストか -新専門医制度に向けて

[司会]
佐々木 裕氏(長崎国際大)
名越 澄子氏(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科)

[演者]
● GeneralityとSpecialtyとの有機的連携(佐々木 裕氏 長崎国際大)
● 憧れの消化器外科専門医・スペシャリストを目指して(高須 千絵氏 徳島大・消化器・移植外科)
● 新専門医制度での女性スペシャリスト育成の課題(岡田 英理子氏 東京医歯大・臨床医学教育開発学・総合教育研修センター)
● 消化器内科のジェネラリストを目指して(小林 奈津子氏 健和会病院・消化器内科)
● 食道内視鏡医を目指して(藤原 純子氏 防府消化器病センター・消化器内科)
● 女性医師キャリア形成における専門医取得の意義~開業医の立場より~(山田 裕希氏 林田クリニック)

第20回医療セミナー 11月7日(土)9:00~12:00 第13会場

働き方改革への取り組み

[司会]
小池 和彦氏(東京大大学院・消化器内科学)
森 正樹氏(九州大大学院・消化器・総合外科学)

[演者]
● 医師の働き方改革の制度設計(加藤 琢真氏 厚生労働省・医政局医事課)
● 大学病院における医師の働き方改革について(石丸 成人氏 文部科学省・高等教育局医学教育課)
● 地方の大学病院,消化器病診療科の立場から(日浅 陽一氏 愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学)
● 外科医の働き方改革に向けての取り組み(馬場 秀夫氏 熊本大大学院・消化器外科学)
● 消化器内視鏡学会の立場から ―女性内視鏡医キャリアサポートWGの活動を含めて―(中村 真一氏 東京女子医大・消化器内科)
● 肝臓学会の立場,および女性医師の立場から(飯島 尋子氏 兵庫医大・消化器内科)
● 公的病院・研究所運営および産業保健推進の立場から(大西 洋英氏 労働者健康安全機構)

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