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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

肝硬変の近未来診療

2021年11月04日 06:45

2名の医師が参考になったと回答 

ワークショップ1 提案:日本肝臓学会

本日 14:30〜17:00 第1会場

司会 名越 澄子氏 埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科
中川 美奈氏 東京医歯大・統合教育機構
演者 清水 雅仁氏 岐阜大大学院・消化器内科学
三輪 貴生氏 岐阜大・1内科
岩佐 元雄氏 三重大・消化器内科
岩崎 秀一郎氏 北里大・消化器内科
石破 博氏 京都第一赤十字病院・消化器内科、京都府立医大・消化器内科
近森 文夫氏 高知赤十字病院・外科
佐藤 綾子氏 都立墨東病院・消化器内科
井上 貴子氏 名古屋市立大病院・中央臨床検査部
中西 裕之氏 武蔵野赤十字病院・消化器科
平岡 淳氏 愛媛県立中央病院・消化器病センター内科
河野 惟道氏 日本医大・消化器肝臓内科
土屋 淳紀氏 新潟大大学院・消化器内科学

 近年、肝硬変診療では合併症に対しさまざまな薬剤が使用できるようになり、2020年には日本消化器病学会・日本肝臓学会の合同ガイドライン(GL)として『肝硬変診療GL 2020』が策定されるなど、著しい進歩を見せている。しかし、司会の名越澄子氏は「肝硬変には未解決の問題があり、解明されていない病態も多い」と指摘。「今後の肝硬変診療の発展につながる、基礎研究と臨床の懸け橋になるようなセッションにしたい」と述べる。

基礎、臨床の両面から肝硬変を検証

 『肝硬変診療GL』 は2010年に初版が、2015年に第二版が刊行され、2020年版は2回目の改訂となる。2020年版では、①エビデンスが明らかで基礎的知識である「Background Question(BQ)」、②現時点での課題である「Clin­i­cal Question(CQ)」、③今後さらなる研究を進めエビデンスの蓄積が必要となる「Future Re­search Ques­tion(FRQ)」―の3つが明示された。また、日常診療において重要であり、初版から取り上げられていた肝硬変患者の栄養療法についてもサルコペニア対策も含むなど大幅にフローチャートが改訂された。

 実臨床では、肝硬変患者のQOLを著しく低下させる腹水・浮腫、肝性脳症といった多岐にわたる合併症()について、近年保険収載された薬剤や治療法を用いた包括的治療戦略が話題を集めている。一方、肝線維化抑制といった根本的な課題については、確立された治療法が存在しないのが現状だ。

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 このような潮流を踏まえ、本セッションでは肝硬変診療の現状と課題、展望をまとめる清水雅仁氏の基調講演を皮切りに、肝性脳症、食道胃静脈瘤、門脈血栓症などさまざまな合併症に対する臨床研究や、肝がんに対する根治術施行後の予後予測因子の検討、肝線維化の抑制を目指しHMGB1の部分ペプチドを用いた動物実験など、12演題で構成。名越氏は「2020年版GLのFRQを念頭に、基礎研究から臨床まで幅広く演題を募った」と説明する。

 特に合併症については、複数の症状が密接に連関していることが知られている。同氏は「肝性脳症の予測における握力測定の有用性や、肝性脳症に対するバルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術(BRTO)施行後の門脈血流量の変化など、さまざまな角度から肝硬変の合併症にアプローチできる機会となるだろう」と展望。「多数の幅広い演題から、合併症発生における肝を中心とした多臓器連関が浮き彫りになるのではないか。ぜひ本セッションを聴講し、日常の診療に役立ててほしい」と呼びかけている。

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