オンライン時代の女性医師キャリア支援を考える
2021年11月05日 06:45
JDDW 2021 女性医師・研究者プログラム
本日 14:00〜17:00 第13会場
司会 | 茶山 一彰氏 広島大大学院・医療イノベーション共同研究講座 |
野村 幸世氏 東京大大学院・消化器外科学 | |
演者 | 飯島 尋子氏 兵庫医大・消化器内科 |
伊藤 公訓氏 広島大病院・総合内科・総合診療科 | |
尾原 秀明氏 慶應義塾大・一般消化器外科 | |
由雄 祥代氏 国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター肝疾患研究部 | |
松永 理絵氏 東邦大医療センター佐倉病院・外科 | |
土谷 薫氏 武蔵野赤十字病院・消化器科 | |
高須 千絵氏 徳島大・消化器・移植外科 |
増加傾向にある女性医師のキャリア形成において、仕事の継続と育児を含む家事の両立支援が1つの鍵となる。昨年(2020年)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴う学会やカンファレンスのオンライン化の進展は、期せずして女性医師のキャリア支援に追い風となった。茶山一彰氏は「当施設でも女性医師は増加している(図)。本セッションでは、オンライン化に際し体感した変化を広く紹介していただき、女性医師のキャリア支援におけるオンライン化の有用性や将来的な展望について論じていきたい」と話す。
コロナ下でオンライン化を経験した7氏が講演
初めに、第25回日本肝臓学会大会の会長を務める飯島尋子氏が基調講演を行う。COVID-19の蔓延以降、大きな方向転換を迫られた学会開催。女性医師としてキャリアを形成してきた同氏が、コロナ下で学会を企画した経験からオンライン化による正負両方の側面や、パンデミックがもたらした影響について言及する。コロナ下の今こそ女性医師のキャリア支援にとって改革のチャンスと捉え、改革に向けた活発な議論を促す。
続いて、昨年に開催された2学会の運営に携わった2氏が、コロナ下での学会開催について講演する。昨年8月に完全ウェブ形式で行われた第106回日本消化器病学会総会の運営に携わった伊藤公訓氏は、COVID-19の流行拡大に伴う日程調整や完全ウェブ形式導入の決断など、開催までの経緯を説明。開催後のアンケート結果を紹介し、今後の同総会の望ましい在り方を模索していく。
同じく完全ウェブ形式だった第120回日本外科学会定期学術集会の運営に携わった尾原秀明氏は、「現地開催以上」を目指したウェブならではの新しい形態を提案するための工夫について紹介。時間や空間にとらわれない新たな学術集会の在り方について議論する予定だ。
次に、女性医師4氏がオンライン時代におけるキャリア形成について自身の経験を踏まえ講演する。2児の母である由雄祥代氏は、仕事と育児の両立で感じた葛藤や両立しやすい体制づくりについて述べる。また、学会へのオンライン参加やテレワークといったオンライン化のメリットを生かしながら、「チーム全体がハッピーになる」策を提案する。
出産後は国際学会への参加を断念していたという松永理絵氏だが、ウェブ形式が主流になり状況が一変した。オンラインでの学会の開催が、いかに多くの育児中の女性医師のモチベーション維持につながるかについて発表する。
コロナ下で進んだ学会や研究会のオンライン化。土谷薫氏は、一定のメリットを認めつつも、女性医師や研究者のキャリア支援はそれだけで十分なのかと問う。若手のキャリアアップ実現のために、次なるアプローチに向け議論を深めていく。
オンライン化は医師の働き方改革の推進につながる可能性がある。5つの学会にオンライン参加した高須千絵氏は、育児中の女性医師に立ちはだかる障壁がオンライン化により解決できるとし、女性のキャリア推進におけるオンライン化の可能性について述べる。
本セッションについて、茶山氏は「JDDW 2021はオンラインでの視聴も可能なハイブリッド形式での開催。女性医師はもちろん管理職の医師などにも積極的に参加してほしい」と呼びかけている。