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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

内視鏡低侵襲治療の新たな挑戦 (New challenges for minimally invasive endoscopic treatment)

2021年11月05日 06:45

International Session(Symposium)4 提案:日本消化器内視鏡学会

本日 14:00〜17:00 第11会場

司会 小野 裕之氏 静岡がんセンター・内視鏡科
炭山 和毅氏 東京慈恵会医大・内視鏡医学
演者 Amit Maydeo氏 Baldota Institute of Digestive Sciences, Global Hospital
Stavros Stavropoulos氏 Division of Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition, Winthrop University Hospital
Philip Wai Yan Chiu氏 Department of Surgery, Faculty of Medicine, The Chinese University of Hong Kong
土橋 昭氏 東京慈恵会医大・内視鏡医学
七條 智聖氏 大阪国際がんセンター・消化管内科
鈴木 桂悟氏 がん研有明病院・下部消化管内科
平澤 欣吾氏 横浜市立大附属市民総合医療センター・消化器病センター・内視鏡部
鬼丸 学氏 昭和大江東豊洲病院・消化器センター
一政 克朗氏 昭和大横浜市北部病院・消化器センター
特別発言 矢作 直久氏 慶應義塾大病院・腫瘍センター・低侵襲療法研究開発部門

 消化器領域では、画期的な治療技術の登場により低侵襲治療への移行が進んでいる。またロボット内視鏡や人工知能(AI)、ビッグデータなどの分野の進展も著しい。国内外のエキスパートが集う本セッションでは、さらなる低侵襲化への「新たな挑戦」を展望する。

 内視鏡検査は消化器領域での日常診療に欠かせないツールとなっている。内視鏡低侵襲治療について、司会の小野裕之氏は「内視鏡治療は外傷や疼痛、術後の機能維持の面で外科手術と比べて非常に多くの利点がある」と意義付ける。とりわけ、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)へと低侵襲化が進む中、同氏は「ESDの開発は、内視鏡による腫瘍切除で大きな組織を取り除くことを可能にした。急性胃腸管出血や膵胆道閉塞の大部分は内視鏡的に管理できる。また内視鏡治療の作業領域は、腸壁で制限されることはない」とメリットを強調する。

外科的治療からLECS、さらにEFTRへ

 その上で、内視鏡医によるESDと外科医による腹腔鏡下胃局所手術のハイブリッド手術である腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)や、さらに低侵襲で外科的治療を介さない内視鏡的全層切除術(EFTR)を紹介。「EFTRは日本では先進医療として始まったばかり。後遺症がほとんど残らない新しい手技なので、多くの人に見ていただきたい」と述べた。

 セッションでは、大腸へのLECSについて鈴木桂悟氏が報告する。海外で多く実施されているEFTRについては、Stavros Stavropoulos氏をはじめ七條智聖氏と平澤欣吾氏が報告する。

若手内視鏡医の「新たな挑戦」を

 日本発の手技である経口内視鏡的筋層切開術(POEM)をはじめとする粘膜下内視鏡手技は、腸壁の深層部が内視鏡治療のための人工的かつ安全な作業スペースになっていることを示す。食道アカラシアなどの食道運動異常の患者に低侵襲で行うことができる画期的な手法だ。内視鏡的縫合器具を用いて全層欠損部を確実に閉鎖できるため、内視鏡的全層切除術が困難な症例の治療選択肢となっている。小野氏は「以前からある手技だが、進化している」と言う。セッションでは、POEMとそれを応用した経口内視鏡的腫瘍核出術(POET)について、鬼丸学氏が紹介する。

 また内視鏡的縫合デバイスは、外科的な肥満手術で行われる消化管のバイパスも可能にした。土橋昭氏は、内視鏡で胃の内側から縫合し、胃容量を制限する内視鏡的スリーブ状胃形成術(ESG)について報告する。

 一方、技術面では既にロボットやAIが内視鏡分野で臨床的に活用されており、近い将来、内視鏡診療の在り方を変えると期待されている。Philip Wai Yan Chiu氏が胃腸切除のための「ロボットESD」について、一政克朗氏がAIによるリンパ節転移予測能についてそれぞれ報告する。

 小野氏は「新たな挑戦に向けて、ぜひ若手医師に内視鏡の未来を見ていただきたい」と聴講を呼びかける。

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