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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

肝線維化非侵襲的診療の実際 (Non-invasive assessment of liver fibrosis for the clinical diagnosis and treatment)

2021年11月05日 06:45

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International Session(Workshop)3 提案:日本肝臓学会

本日 14:30〜17:00 第8会場

司会 中尾 一彦氏 長崎大大学院・消化器内科学
廣岡 昌史氏 愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学
Discussant 杉本 勝俊氏 東京医大・消化器内科
吉田 理氏 愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学
演者 中塚 拓馬氏 東京大・消化器内科
並川 正一氏 福井大・内科学(2)
内川 慎介氏 広島大・消化器・代謝内科
西村 貴士氏 兵庫医大・内科・肝胆膵科、超音波センター
小泉 洋平氏 愛媛大大学院・消化器・内分泌・代謝内科学
小宮山 泰之氏 山梨大・内科学講座第一教室
江口 暁子氏 三重大・消化器内科学
白井 久美子氏 大阪大大学院・消化器内科学
藤田 浩二氏 香川大・消化器・神経内科学
城下 智氏 信州大・内科学第二教室
堀井 里和氏 金沢大大学院・消化器内科学
特別発言 泉 並木氏 武蔵野赤十字病院

 肝線維化は肝硬変や肝がん、肝不全など全ての慢性肝疾患を診療する上で重要な指標となる。線維化評価のゴールドスタンダードは肝生検だが、侵襲性が高く時として合併症を引き起こし、生検部位によるサンプリングエラーが生じやすい。本セッションでは、肝生検に代わるさまざまな肝線維化評価法の有用性が検討される。

3次元MRエラストグラフィの可能性に注目

 本セッションは、画像または血液から肝線維化を診断する手法を扱う演題で構成されている。画像診断としては近年、組織の硬さを画像化して評価するエラストグラフィが頻用されており、超音波診断装置を利用したfibroscanやshear wave elastography、MRIを利用したMRエラストグラフィなどに関する発表が予定されている。

 これらに加え、新規性という観点から注目されるのが3次元エラストグラフィの有用性を検証した演題である。司会の中尾一彦氏は「肝全体における線維化の分布を把握することができるこの画像診断法により、どのような知見が示されるのか興味深い」と力強く語る。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の患者を対象に、線維化の進展に対する予測能を明らかにする報告が小宮山泰之氏から発表される予定だ。

細胞外小胞エクソソーム由来のバイオマーカー候補に期待

 肝線維化の評価の指標となる血中バイオマーカーとしては、サイトケラチン(CK)18や、Albumin platelet product(APP)、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)などが知られている。また、肝障害の血清マーカーALT、AST、血小板数を組み合わせたスコアリングシステムAPRIも肝線維化の評価に用いられる。

 本セッションではこれらに加え、細胞外小胞エクソソームに関連する演題も用意されている。白井久美子氏は、エクソソームに含まれる各種蛋白質と慢性C型肝炎における肝線維化の相関関係を探る。

 中尾氏は「現在、エクソソームは多様な疾患に対する診療への寄与について、世界中の研究者が関心を寄せている。今回の発表で、肝線維化の評価にエクソソームがどのような役割を果たすのかが明らかになるのを楽しみにしている」と期待を寄せた。

肝疾患の診療医にとって線維化は不可欠な指標

 肝線維化について、中尾氏は「慢性肝疾患を診療する上で、極めて大きな意味を持つ」と述べ、「肝臓病学において、その指標を非侵襲的かつ高精度に評価する手法は、今後も継続して追求する必要がある」と強調。「肝疾患の診療に携わる多くの臨床医に本セッションに興味を持ち、参加していただきたい」と呼びかけている。

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