新専門医制度の現状と課題
2021年11月06日 06:40
第21回医療セミナー
本日 9:00〜12:00 第13会場
司会 | 田尻 久雄氏 東京慈恵会医大・名誉教授 |
下瀬川 徹氏 みやぎ県南中核病院 | |
演者 | 寺本 民生氏 日本専門医機構・理事長 |
横山 彰仁氏 高知大・呼吸器・アレルギー内科 | |
村上 和成氏 大分大・消化器内科 | |
田中 聖人氏 京都第二赤十字病院・消化器内科 | |
吉治 仁志氏 奈良県立医大・消化器・代謝内科 | |
袴田 健一氏 弘前大・消化器外科 |
新専門医制度は2018年度に開始され、19の基本領域とサブスペシャルティ領域(サブ領域)の2段階で構成される。内科は15のサブ領域に分かれ、中でも消化器は対象臓器や疾患数、患者数が最も多く、診療手技も多岐にわたることから複数のサブ領域を抱えている(図)。一方、学会認定のサブ領域の扱いなど検討中の課題もあり、その動向には注視が必要だ。本セッションでは、日本専門医機構(専門医機構)、日本内科学会をはじめ消化器サブ領域の各学会から専門医制度の現状と課題が報告される。司会の田尻久雄氏は「サブ領域に関してはさまざまな課題や疑問もあるので、それらについて分かりやすく回答し議論できる場にしたい」とセッションの意義を話す。
内科と外科のサブ領域の関係性などが課題に
専攻医とその指導医が抱える代表的な課題・疑問として、田尻氏は以下の4つを挙げる。
1点目は、医道審議会医師専門研修部会のサブ領域の在り方に関するワーキンググループ報告書の解釈についてである。同報告書で示された「広い範囲を対象とした総合的な診療を行えるプロフェッショナル」という考え方は、地域医療に影響を及ぼさないとの視点に沿ったものだが、具体的にはどのような意味なのか。地域医療に影響を及ぼさない「広い範囲」とはどこまでを指すのか、討論を通じて理解を深めたい。
2点目は、補完研修の在り方である。専門医機構が提案する23領域の整理が行われ、内科において消化器病、消化器内視鏡、肝臓については、連動研修を行い得る領域に消化器内科(領域)として集約することが適当とされた。また、消化器内視鏡および肝臓は、少なくとも1つのサブ領域を修得した後に研修を行う領域とすることが適当と報告されたが、その後、制度運用として補完研修方式として研修細則に示され、その実施について検討が重ねられている。その後、具体的なスケジュールはどのようになっているのか、不安を感じている医師は少なくない。
3点目は、消化器分野における内科と外科のサブ領域の関係性についてである。消化器内科と消化器外科はそれぞれ内科専門医、外科専門医のサブ領域に位置付けられている。消化器は領域横断的分野であり、外科医で日本消化器病学会や日本消化器内視鏡学会などの内科系専門医を取得しているケースも多い。外科専門医でありながら消化器内科系のサブ領域を取得するにはどうすればよいのか、今後も議論が必要である。
そして、最も関心が高いのが今後のスケジュールである。専門医機構、学会それぞれのサブ領域の認定、研修の開始時期などの予定はどうなっているのか、気が気でない医師は多い。
田尻氏は「制度の在り方を議論するのでなく、現状での課題点、疑問点を明らかにしたい。医療機関で専攻医を指導する医師、これから専攻医を目指す若手医師などにぜひ聴講してほしい。今回はウェブでの視聴も可能なので気軽に参加を」と呼びかけている。