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第29回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)

高齢者に対する消化器癌治療の適応と限界

2021年11月06日 06:40

パネルディスカッション10 提案:日本消化器病学会

本日 14:00〜17:00 第1会場

司会 村上 和成氏 大分大・消化器内科
井戸 章雄氏 鹿児島大大学院・消化器疾患・生活習慣病学
演者 柴田 寛幸氏 名古屋大大学院・消化器内科学
山下 公太郎氏氏 大阪大・消化器外科
泉 敦子氏 がん研有明病院・上部消化管内科
杉本 光繁氏 東京医大・消化器内視鏡学
内田 恒之氏 昭和大藤が丘病院・消化器・一般外科
加藤 穣氏 大阪大大学院・消化器内科学
横山 雄一郎氏 東京大・腫瘍外科
大浦 杏子氏 香川大・消化器・神経内科
高浦 健太氏 武蔵野赤十字病院・消化器科
桂 宜輝氏 関西労災病院・外科
佐藤 塁氏 静岡がんセンター・IVR科
柳井谷 駿史氏 愛知県がんセンター・消化器内科
大工 和馬氏 大阪国際がんセンター・肝胆膵内科
近藤 成氏 広島大大学院・外科学

 日本では高齢化の進展が著しいが、高齢患者では併存疾患や予後予測因子が多く、術前の評価が複雑化するため、治療法の選択が難しい。そこで本セッションでは、消化器がんの中でも治療に難渋することが多い高齢患者に関する報告を取り上げる。司会の村上和成氏は「一口に高齢者といっても、患者によって状態はさまざま。年齢による線引きよりも、個々の患者に最適化した治療を検討する必要がある」と指摘する。

高齢患者での治療法選択という難問に挑む

 本セッションは、高齢の消化器がん患者に対する最新の治療戦略について、臓器ごとに全14演題で構成。まずは食道がんについて、柴田寛幸氏が高齢者における内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)適応病変の長期予後予測因子を、山下公太郎氏が術前の高齢者総合機能評価(CGA)と治療成績の関係を報告する。村上氏によると、高齢者では低侵襲治療のニーズが高まっており、消化器がん治療においてもメリットが期待できるという。

 胃がんについては、85歳以上の超高齢者におけるESDの治療成績(泉敦子氏)やESD後出血の危険因子(杉本光繁氏)に関する報告の他、他病死リスクが胃がん手術におけるD2郭清に及ぼす影響が明らかにされる(内田恒之氏)。

 高齢者では患者が外科的手術よりも侵襲性の低い内視鏡治療を望む場合も多いが、中には追加切除が必要になるケースもある。加藤穣氏は、大腸がんに対するESD後に追加手術の必要性を判断する際の評価尺度の妥当性を考察。横山雄一郎氏は超高齢者における腹腔鏡補助下大腸切除術の安全性を報告する予定だ。

 肝細胞がんに関しては、大浦杏子氏が自施設の1,000例以上を高齢者と非高齢者で分け、予後予測因子を検討。佐藤塁氏は80歳以上の高齢患者における分子標的薬の有効性と安全性を報告する。さらに、高齢患者におけるラジオ波焼灼療法(RFA)の治療成績を高浦健太氏が、腹腔鏡下肝切除術の成績と栄養状態の関係を桂宜輝氏が紹介する予定だ。

 消化器がんの中で最も発見が難しく予後不良である膵がんについて、柳井谷駿史氏は80歳以上を対象に手術、化学療法、ベストサポーティブケア(BSC)の治療成績を比較し、治療選択の妥当性を検証。大工和馬氏は診断群分類(DPC)データを基に高齢患者における化学療法の有効性を、近藤成氏は切除可能性分類に基づく膵切除術の妥当性と限界を報告する。

 以上のような本セッションのラインアップについて、村上氏は「高齢者における消化器がん治療のほぼ全てを網羅する充実の内容になった」と指摘。「ぜひ参加していただき、日常診療の問題解決に役立ててほしい」と呼びかけている。

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