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第30回 日本消化器関連学会週間(JDDW 2022)

世界のバレット食道診断と発癌リスク(Diagnosis and carcinogenesis of Barrett's esophagus in the world)

2022年10月27日 06:30

60名の医師が参考になったと回答 

International Session(Symposium)1 提案:日本消化器病学会

10月27日 14:30〜17:00 第9会場

司会
飯島 克則 秋田大大学院・消化器内科学
後藤田 卓志 日本大・消化器肝臓内科
演者
Yeong Yeh Lee University of Sains Malaysia
堀内 朗 昭和伊南総合病院・消化器病センター
久保田 大 東京大大学院・消化器内科学
岩谷 勇吾 信州大・先端治療内視鏡
福田 翔 秋田大大学院・消化器内科学
大原 祐樹 東北大大学院・消化器病態学
四十万谷 卓也 関西医大・3内科
Rajvinder Singh The University of Adelaide and the Lyell McEwin Hospital

 近年、日本ではバレット食道(BE)から発生するバレット食道腺がん(BAC)が増加傾向にあり、臨床研究の進展が望まれている。また、発生母地となる胃食道接合部の国際的なコンセンサスが確立されていないことが臨床研究などでの比較に際し問題となっており、統一化が求められていた。2019年3月に国際的なコンセンサス会議(胃・食道接合部領域の諸問題に関する京都国際会議)が開催され、一定の成果が得られたことが本セッションの企画につながっており、司会の飯島克則氏は「今年8月にはコンセンサス会議の内容をまとめた論文も発表され(Gut 2022; 71: 1488-1514)、最新の知見を学び議論を交わす絶好のタイミングとなった。ぜひ参加して、BE診断や発がんリスクへの理解を深めてほしい」と呼びかける。

海外事情、内視鏡診断、DNA解析などを深く掘り下げる

 海外からはYeong Yeh Lee氏(マレーシア)がアジア太平洋地域における胃食道接合部腺がんの現状とBE診断の問題点について、Rajvinder Singh氏(オーストラリア)がバレット異形成と早期食道がんの診断、低侵襲性の内視鏡的治療など、西洋医学的アプローチを紹介する。

 堀内朗氏は、日本人若年者(19~30歳)における食道胃接合部および胃粘膜の内視鏡的所見の経時的変化を紹介。食生活の西洋化が進む現代における内視鏡的BEと胃底線ポリープの傾向を検討し、今後のBACの発生予測を示す。久保田大氏はBEの危険因子の解析結果について発表。Helicobacter pyloriH. pylori)除菌療法が一般化する中、H. pylori除菌がBEの危険因子となる可能性について報告する。

 内視鏡診断については岩谷勇吾氏、福田翔氏が解説。岩谷氏は内視鏡検査で胆汁逆流を確認した際のBE発症リスクを検討。福田氏はBEの長さとBAC発症の関係性について報告。海外ではBEの診断基準として長さが1cm以上と規定されるケースが多いが、日本では規定はない。同氏はBEの長さが1cm未満(USSBE)の患者は、発がん率が極めて低いことを提示する予定である。

 大原祐樹氏はBAの発生部位と逆流因子および粘膜障害との関連を紹介。pHセンサー付きカテーテルで胃食道逆流の程度を評価する24時間食道インピーダンスpH(MII)を用いた検討結果を示す。四十万谷卓也氏はBEからBACへの変化に伴うDNAのメチル化について、遺伝子解析の結果を解説する。さらに狭帯域光観察併用拡大内視鏡(M-NBI)で得られたBACの特徴から、BEのDNAメチル化が内視鏡検査でも診断可能であることを示す。

 飯島氏は「総合討論では、BEの定義について議論を深めたい。コンセンサス会議では解剖学的分布に基づき、柵状血管の下端を胃食道接合部と定義する日本独自の解釈が採用された()。一方、日本では円柱上皮化生の長さを規定しておらず、内視鏡検査受検者の40%近くがBEと診断されている。こうした状況を踏まえ、登壇者にはサーベイランスをどこまで行うべきか意見を聞いてみたい。BACは日本に先行して欧米で患者が増加している。日本の臨床研究とともに、海外の診断アプローチやサーベイランス戦略を学べる貴重な機会になるだろう」とコメント。

 また同氏とともに司会を務め、コンセンサス会議のメンバーで同論文共著者でもある後藤田卓志氏も「JDDW期間中には同会議の結果を受けた研究展開のための打ち合わせも行われる。今後は柵状血管の内視鏡・病理診断法に焦点を当てた臨床研究に移行する予定だ。皆様には、本セッションと直前のPrateek Sharma先生の招待講演(14:00~14:30、同会場)をセットで聴講し、現在の課題と解決方法について考える機会としてほしい」と期待を寄せた。

図. 胃食道接合部の解剖と内視鏡画像

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Gut 2022; 71: 1488-1514)

第65回 日本消化器病学会大会 会長 名越 澄子 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科
第106回 日本消化器内視鏡学会総会 会長 塩谷 昭子 川崎医科大学 消化器内科
第27回 日本肝臓学会大会 会長 島田 光生 徳島大学大学院 消化器・移植外科学
第21回 日本消化器外科学会大会 会長 大段 秀樹 広島大学大学院 消化器・移植外科学
第61回 日本消化器がん検診学会大会 会長 日山 亨 広島大学保健管理センター

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