NASHの本態に迫る
2022年10月28日 06:30
229名の医師が参考になったと回答
シンポジウム6 提案:日本肝臓学会
10月28日 9:30〜12:00 第1会場(福岡国際センター アリーナ)
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わが国の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者は2,000万人以上に上り、その対応は喫緊の課題である。NAFLDから非アルコール性脂肪肝炎(NASH)や肝硬変に進行する患者もおり、世界的な問題となっている。座長の中島淳氏は「NAFLD/NASHについては日本人患者の現状を把握し、開発が進む治療薬の登場後を見据えた診療体制の構築を目指すことになる。それらのテーマについて本シンポジウムで議論したいと思っている」と述べる。
現状を把握し、今後に備えた診療体制を目指す
本セッションは大きく3つに分けられる(図)。最初の3演題は「リスク:NASHの肝臓診療現場へのインパクト」で、中島氏は「患者の予後を予測するための疫学だ」と説明。藤井英樹氏は、約1,400例が対象の大規模データベースを用い、血小板数によりNAFLD患者の予後を予測する全国多施設共同研究の結果を発表する。中塚拓馬氏は、検査装置で肝硬度測定(LSM)を用いて約1,000例のNAFLD患者の臨床イベントを調査、LSMの有用性を報告する。角田圭雄氏は、非侵襲的診断法(NIT)による肝関連イベントや死亡リスクなどの予後予測能について、多施設共同研究のサブ解析結果を提示する。
中盤の4演題は「病気の治療・モニタリング:検査と薬物治療」。中島氏は「ここでは、標準治療薬ではないがNAFLD/NASH患者にパイロット的に使われている脂質異常症治療薬ペマフィブラートの脂肪肝に対する効果の他、治療効果を評価するための画像診断、肥満手術の有効性などが報告される。このような治療の試みについても検討できればと思う」としている。
今城健人氏はNAFLD患者における肝画像診断の再現性および精度の検討、市川武氏は高トリグリセライド血症合併脂肪肝に対するペマフィブラートの効果、江口有一朗氏はNAFLD/NASH患者に対するペマフィブラート投与が脂質代謝に及ぼす影響、阿部珠美氏は硬度肥満に合併したNASH線維化進展例に対する肥満外科手術の有用性について報告する。
後半の5演題は「病気の機序:ゲノム解析など基礎研究」。中島氏は「現在、NAFLD/NASHには承認治療薬がないため、疾患の発症の機序、特に遺伝的背景や免疫異常など、患者サンプルを用いた解析、または動物実験による解析などについても議論できれば」と説明。小木曽智美氏は肝がんと遺伝的背景因子の検討、藤原直人氏はNAFLD患者における肝がんリスクの分子署名、中本伸宏氏はNASH線維化の修復、進展に関与する免疫環境について報告する。福本賢二氏は肝マクロファージのリソソーム障害がNASH病態進行に及ぼす影響の検討、今一義氏はNASHの病態進展におけるNKT細胞の役割について発表する。
現在、世界で開発中のNAFLD/NASH治療薬は40種類以上で、第Ⅲ相試験中のものは2〜3種類、第Ⅱ相試験中のものもある。中島氏は「製薬企業は精力的に開発を進めており、NAFLD/NASHの治療薬が登場する日が間もなく訪れるのではないか」と考察。「本セッションは、わが国のNAFLD/NASH患者にこれからどのように対応すべきかを検討することがポイントとなっている。日本人のNAFLD/NASH患者において現在分かっていること、必要なことを確認し、新薬登場後に備えた診療体制の整備を目指していく」と述べ、聴講を呼びかけた。
図. 本セッションにおける演題のグループ分け
(中島淳氏提供)
第65回 日本消化器病学会大会 | 会長 名越 澄子 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 |
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第106回 日本消化器内視鏡学会総会 | 会長 塩谷 昭子 川崎医科大学 消化器内科 |
第27回 日本肝臓学会大会 | 会長 島田 光生 徳島大学大学院 消化器・移植外科学 |
第21回 日本消化器外科学会大会 | 会長 大段 秀樹 広島大学大学院 消化器・移植外科学 |
第61回 日本消化器がん検診学会大会 | 会長 日山 亨 広島大学保健管理センター |