ポストコロナ時代に向けた消化器診療
2022年10月28日 06:30
230名の医師が参考になったと回答
統合プログラム4(シンポジウム)
10月28日 14:00〜17:00 第3会場(福岡サンパレス パレスルーム)
司会 |
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基調講演 |
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社会はポストコロナ時代へと舵を切り、医療現場も落ち着きを取り戻しつつあるが、消化器領域では多くの診療がコロナ前に戻っていない。常に変化する新型コロナウイルス(以下、コロナ)の状況に対し、現場は逐次対応を余儀なくされており、施設ごとに診療体制も異なるのが現状である。司会の持田智氏は「感染リスクが高い消化器診療においては"ポストコロナ"ではなく、今後も"withコロナ"として従来の診療体制に戻すことが求められている。そのためにはwithコロナ時代に向けた診療体制の指針を示す必要がある」と述べる。本シンポジウムではコロナが消化器領域に及ぼした影響や現状を整理し、withコロナ時代における消化器診療の在り方を議論する。
"withコロナ"として従来の診療体制を取り戻す方策
withコロナ時代の消化器診療を考えるには、まずコロナの現状と感染対策の確認が必要である。脇田隆字氏はこれまでのコロナの動向を振り返り、今後の診療体制の基盤を提示する。感染対策では、三角宜嗣氏が内視鏡検査時の個人防護具による曝露予防策を紹介。大澤恵氏はPCR検査による患者スクリーニングの有効性を解説し、全患者に対するPCR検査の要否を含め現実的なコロナ対策を考える。
コロナの流行は検診控えや診療縮小を招き、手術や移植が大幅に減少した。持田氏は「コロナによる影響の実態を把握し、従来の診療体制を取り戻す方策を考えたい」と話す。そこで、田中基彦氏は病院と自治体の連携による対策を解説。熊本市の取り組みを通して、受診控えが地域診療に及ぼす影響と具体的な対策を紹介する。一方、コロナの影響がいまだ残る肝疾患診療では従来の診療体制の維持、肝臓病教室の実施が難しく、受診控えによる肝炎や肝がんの進行が問題となっている(図)。内田義人氏は拠点病院への影響を踏まえ、患者の生活スタイルに配慮した今後の肝疾患診療の在り方を示す。藤田翔平氏は全国的に減少した胃がんの検診や手術の実態について、自施設の検診控えと手術患者の調査から検証する。コロナ流行は消化器系移植にも多大な影響を及ぼしており、2019年は100例に迫っていた肝移植のドナー数は、2020年以降は大きく減少し移植の適応拡大にも波及している。穴澤貴行氏は移植医療の現状を踏まえ、コロナなどの感染症流行に左右されない連携体制の展望を示す。
図. 新規肝細胞がんで埼玉医科大学へ紹介となった症例の推移(4半期別)
(内田義人氏、持田智氏提供)
コロナは消化器病患者の免疫にも影響
コロナは治療や予防の面でも消化器領域に影響している。コロナの治療に使用される免疫抑制薬は消化管出血の誘因となる。藤井崇氏はコロナの入院患者における消化管出血の危険因子を同定、そのデータが注目される。志賀永嗣氏は免疫抑制下の炎症性腸疾患(IBD)患者におけるコロナワクチンの効果を検証、今後のIBD患者に対するコロナワクチン戦略を示す。また、免疫抑制薬はHBV再活性化を引き起こすことから、松居剛志氏はコロナ治療後のHBV再活性化モニタリングの必要性について解説する。
コロナの流行は3年目に入り、消化器診療においては区切りの時期を迎えている。持田氏は「変化するコロナに対し消化器・肝臓領域の専門医はどのように対応すべきか。本シンポジウムで1つの方向性を見つけたい」と期待を寄せ、聴講を呼びかけている。 また、共同司会の古田隆久氏は「演者だけでなく、フロアの参加者からもいろいろな経験や意見を伺いつつ議論を深めたい」と意欲を示し、長谷川秀樹氏も「ポストコロナ時代に向け、医療現場では2つの対応が求められる。1つはコロナの流行が続く中でいかに本来行うべき医療を遂行するかであり、もう1つはコロナ感染が病態に影響を及ぼす疾患への対応である。後者では免疫系や微小血栓などの影響による複雑な病態の変化への対応が求められる。この2つの側面から議論を深めたい」と述べている。
第65回 日本消化器病学会大会 | 会長 名越 澄子 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 |
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第106回 日本消化器内視鏡学会総会 | 会長 塩谷 昭子 川崎医科大学 消化器内科 |
第27回 日本肝臓学会大会 | 会長 島田 光生 徳島大学大学院 消化器・移植外科学 |
第21回 日本消化器外科学会大会 | 会長 大段 秀樹 広島大学大学院 消化器・移植外科学 |
第61回 日本消化器がん検診学会大会 | 会長 日山 亨 広島大学保健管理センター |