AI研究の実装化に向けた課題
2022年10月29日 06:30
377名の医師が参考になったと回答
統合プログラム6(ワークショップ)
10月29日 14:00〜17:00 第3会場(福岡サンパレス パレスルーム)
司会 |
|
||
|
|||
|
|||
基調講演1 |
|
||
基調講演2 |
|
||
演者 |
|
||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||
|
医療の進歩は大きな恩恵がある一方、診断や治療の多様化を招き臨床現場の負担増につながることもある。人工知能(AI)はヒトの疲労や時間的限界により生じる問題を解決し、効率化とヒューマンエラー抑制の手段として期待されている。司会の西田直生志氏は「医療分野での実装化が急がれるAIについて、消化器領域における開発状況を示すセッションになるだろう」と述べる。
開発から実装化後の検証に至るまでのAI開発における問題点を共有
診療における問題には、日常臨床の忙しさに加えて『個々の医師で情報や知識の量が異なる』という医療の均霑化に基づく質の差によるものがある。圧倒的な学習量を誇るAIを活用できれば、それらを補正して医療の均霑化も望める。しかし、学習内容や学習データの収集方法などの「AIの育て方」については、いまだ試行錯誤の段階にあるという。育て方を間違えれば多大な労力と費用が無に帰する可能性もあり、AI開発の道のりは最後まで緊張をはらむ。本セッションでは、AIの開発から実装化後の検証まで、各段階の課題に取り組む研究者が登壇して問題点を共有する(表)。
表.本セッションの講演マップ
(西田直生志氏提供)
基調講演1では、大腸ポリープの内視鏡診断支援AIの開発に関わった森健策氏がAI開発をめぐる多くの課題について、経験に基づいて解説する。また大腸内視鏡においては、承認されたがんや前がん病変の診断支援AIが診療現場で期待された性能を発揮しているか否かを検討した性能評価試験・前向きパイロット試験の結果を山田真善氏が報告する。
西田直生志氏は基調講演2として、肝腫瘍診断支援の超音波AI開発における問題点を解説する。超音波AIに関しては、スクリーニング画像からの脂肪肝定量化の試みについて西田晨也氏が報告。また超音波検査に際し、病変がモニターからフレームアウトしてしまうという問題に対応するため、AIが病変を時系列に追跡する機能について目加田慶人氏が解説する。
カプセル内視鏡による潰瘍性大腸炎の重症度評価では、大量の画像スクリーニングというAIの強みを生かした検証結果を樋口直樹氏が紹介する。
診断の均霑化について重要な問題を扱った4演題では、上部消化管内視鏡における早期胃がん診断支援AI(石岡充彬氏)、大腸炎関連がんの病理診断にAIを活用する試み(江本成伸氏)、潰瘍性大腸炎の重症度評価(高林馨氏)、AIによる内視鏡検査初学者への診断支援(山口太輔氏)が報告される。
また膵囊胞や膵腫瘍の鑑別など、予後不良な膵悪性腫瘍の検出にフォーカスした発表(桑原崇通氏、瀬座勝志氏)や、外科手術におけるAI支援についての報告(冨岡幸大氏、藤永淳郎氏、三吉範克氏)など、多様な領域から最新知見の発表が予定されている。
今後の消化器領域において、AIは必須の武器となる。しかし、AIが提示する情報は学習データやアウトプット方法に多大な影響を受けるため、開発段階で多くの課題を解決しなければならない。西田直生志氏は「開発者が示すAIの現状と問題点を吟味し、どのように対応すべきかについて会場の先生方と活発に意見を交わしたい。現在AI研究に関わっていない先生方も本セッションを通じ、消化器医療の近未来に思いをはせてほしい」と参加を呼びかけている。
第65回 日本消化器病学会大会 | 会長 名越 澄子 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 |
---|---|
第106回 日本消化器内視鏡学会総会 | 会長 塩谷 昭子 川崎医科大学 消化器内科 |
第27回 日本肝臓学会大会 | 会長 島田 光生 徳島大学大学院 消化器・移植外科学 |
第21回 日本消化器外科学会大会 | 会長 大段 秀樹 広島大学大学院 消化器・移植外科学 |
第61回 日本消化器がん検診学会大会 | 会長 日山 亨 広島大学保健管理センター |