新たなJDDWの幕開け、会場で熱気を感じてほしい
日本消化器関連学会機構(Organization of JDDW) 理事長
関東中央病院 病院長
小池 和彦氏
2023年10月02日 09:30
66名の医師が参考になったと回答
─先生が理事長に就任して初のJDDWの開催となります。
第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023)は、2023年11月2日(木)〜5日(日)の4日間、神戸コンベンションセンターで開催します。例年通り、初日から3日間は一般プログラムを実施し、最終日に教育講演を行います。会場での講演を原則とする現地開催およびWeb開催を併用したハイブリッド形式とし、教育講演はe-ラーニングとなります。
昨年(2022年)、JDDWは前理事長の下瀬川徹先生の下、30周年という大きな節目を迎えました。今年2月に理事長を拝命し、新たなJDDWの幕開けであるJDDW 2023の運営を担う大役を任されました。身の引き締まる思いですが、盛会を目指し鋭意邁進いたします。
─今回、5人の大会長のうち2人が女性で、運営委員長も初めて女性の名越先生が選出されました。
性差医療に焦点を当てたさまざまなセッションを企画しており、例年とは一味違う印象を持たれるのではないでしょうか。多くの学会が女性会員の獲得に努め、また女性が活躍できるよう力を注いできました。名越澄子先生、塩谷昭子先生がそれぞれ第65回日本消化器病学会大会会長、第106回日本消化器内視鏡学会総会会長の任を担い、また名越先生に運営委員長を務めていただくのは、こうした各学会の取り組みやご本人の研鑽が実を結んだ結果です。これまでに培った経験および知見を踏まえ、大会長あるいは運営委員長として思う存分に力を発揮していただきたいと思います。
―JDDW 2023の特徴や見どころをご紹介ください。
消化器病学は上部消化管、下部消化管、肝胆膵と幅広い臓器が対象であり、これらに関連する5学会の会員が一堂に会するという点がJDDWの最大の特徴です。さまざまな専門領域から多種多様な意見・見解が寄せられ、活発な議論が交わされます。また、内科医だけでなく外科医の参加が多いことも特徴の1つです。内科医と外科医が忌憚なく意見を交わす機会はなかなか得られませんので、消化器領域の課題解決や研究の進展において、新たな化学変化が生まれることを期待しています。
多学会連携により実現する「統合プログラム」は、JDDW 2023で最も注目していただきたい企画の1つです。前述した性差医療に関しては、「消化器医療における性差」において、現状と課題、臨床の新知見や基礎研究の結果などが報告されます。「内視鏡診療と外科手術のコラボレーションの将来展望」では、内科と外科の英知を統合した低侵襲治療法の最新知見をはじめ、今後の見通しについて議論される予定です。
またChatGPTの登場など、さまざまな分野で加速度的な進展を見せる人工知能(AI)を消化器病診断に生かすための討論が期待される「消化器領域における新たな診断モダリティー」、ゲノム医療の推進を踏まえた「バイオインフォマティクスに基づく消化器疾患診療の展望」など、6つのセッションを予定しています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を受け、2020年以降の招待講演はリモートで行われてきました。しかしJDDW 2023では、ほとんどの演者が会場に来ていただける予定です。日本消化器病学会の主導では慢性B型肝炎や炎症性腸疾患(IBD)など、日本消化器内視鏡学会の主導ではHelicobacter pylori(H. pylori)関連胃がんや消化器内視鏡検査におけるAIの活用など、日本肝臓学会の主導では肝がんに対する肝移植やがん免疫療法を補完する補助療法など、日本消化器外科学会の主導では胃がんや膵がんに対する手術および肝移植の技術革新など、日本消化器がん検診学会の主導ではベトナムにおけるH. pylori感染胃炎および胃がんの現状について、それぞれご講演いただきます。
―JDDW 2023では新たに2つの特別企画が設けられました。
日本内視鏡学会の主導による「若手内視鏡医に向けた内視鏡診療の基本テクニック」では、第一線で活躍されている女性内視鏡医が内視鏡診療の基本テクニックを解説します。技術だけでなく、女性医師のキャリアアップの手がかりになることが期待されます。また、日本肝臓学会主導によるディベートでは、肝がんおよび慢性肝不全の急性増悪(ACLF)に対する3つのクリニカルクエスチョンを設定し、適切な治療についてのディベートを予定しています。
その他、第23回となる医療セミナーでは2024年問題を見据えた医師の働き方改革について考え、女性医師・研究者プログラムでは女性医師のキャリア継続・支援について、SNSの活用を切り口として6人の演者に解説していただくなど、さまざまな企画を用意しています。
―最後に、開催に向けた意気込みをお願いします。
COVID-19の世界的流行により、学術集会の形式はWeb開催に大きく舵を切りました。ネットワーク環境さえあればどこからでも参加でき、オンデマンドであれば何度も講演を聴講可能というメリットがあります。
一方で、実際に会場で参加することの意義があらためて浮き彫りになったのではないでしょうか。オンラインでは白熱した議論や質疑応答を行うことは難しく、また会場内外での交流や人脈の構築は学術集会の醍醐味であるとともに、医師としての成長ならびにキャリアアップに不可欠です。是非会場に足を運び、JDDW 2023の熱気を肌で感じていただきたいと思います。コロナ禍以前、あるいはそれを超える賑わいとなることを目指して準備を進めています。
もちろん、ご都合がつかなければオンラインで参加いただき、会場で聞き逃した講演があればオンデマンドで視聴していただくなど、ハイブリット形式の利点を存分に活用していただければと思います。皆さまのご参加をお待ちしています。