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11月2日

肝疾患に対する再生医療のNew normal

2023年11月02日 06:15

101名の医師が参考になったと回答 

ワークショップ4 提案:日本肝臓学会

11月2日(木) 9:30〜12:00 第3会場(神戸国際展示場2号館 3A)

[司会]

吉田 寛氏

日本医大・消化器外科

寺井 崇二氏

新潟大大学院・消化器内科学

[演者]

土屋 淳紀氏

新潟大・消化器内科

八木 洋氏

慶應義塾大・一般消化器外科

中村 徹氏

久留米大・消化器内科、久留米大先端癌治療研究センター・肝癌部門

橋爪 智恵子氏

金沢医大・肝胆膵内科

富丸 慶人氏

大阪大・消化器外科

齋藤 裕氏

徳島大病院・消化器・移植外科

宮本 大輔氏

長崎大大学院・移植・消化器外科学

志水 太郎氏

東京医歯大・消化器内科

小川 憲彦氏

金沢大附属病院・消化器内科

武石 一樹氏

福岡市民病院・外科、九州大大学院・消化器・総合外科学

橋本 直樹氏

三田市民病院・救急部門

堀江 博司氏

京都大・肝胆膵・移植外科

 かつて、脂肪肝は積極的な治療対象ではなかったが、脂肪肝に由来する慢性肝臓病が新たな治療ターゲットとして注目されている。医学は常に変化するが、特に再生医療分野で顕著である。変化を続ける再生医療において、どのようなアプローチが"New normal"となりうるか、候補となる12演題を紹介する。


幕開けは実臨床につながる内科系、外科系を代表する2演題

 再生医療は、生体組織や臓器機能に異常を来した際に再生・修復を促進する医療であり、近年、発展が著しい。肝臓においては細胞増殖因子、ペプチド、間葉系幹細胞、細胞外小胞(エクソソーム)、胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、遺伝子治療を用いた研究などが進められており、実臨床にも広がりを見せている。

 本セッションは、臨床試験まで進み実臨床への応用が間近な研究を紹介する2演題から始まる。土屋淳紀氏は、医師主導治験を実施した他家脂肪組織由来の間葉系幹細胞治療および炎症関連蛋白質high-mobility group box 1(HMGB1)の部分ペプチド治療、非臨床での基礎検討を積み重ねたエクソソーム治療について報告する。八木洋氏は、iPS細胞を利用した部分肝臓グラフト移植治療について発表する。司会の寺井崇二氏は「内科系の土屋氏の報告では、肝硬変症に対する再生療法の治験の経験からのさまざまなアプローチが見どころとなる。外科系の八木氏の報告は、脱細胞化した細胞を使用しており、外科らしさがにじみ出ている。いずれも本ワークショップの幕開けにふさわしい演題であり、聞き逃さないでほしい」と述べる。

 中村徹氏は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)動員自家末梢血CD34+細胞の経肝動脈投与による肝再生療法の実臨床での結果を提示。将来に向け、適切な治験デザインへの示唆を与えてくれることが期待される。続く2演題は動物モデルにシートを用いたアプローチで、橋爪智恵子氏はヒト脂肪組織由来幹細胞(hADSCs)シート、富丸慶人氏は筋芽細胞シートによる肝再生治療について示す。

世界の潮流に乗り遅れないための議論の場に

 オルガノイドを絡めた細胞移植治療の報告は3演題。齋藤裕氏は機能的な幹細胞様細胞を誘導するための工夫と高アンモニアモデルマウスにおける治療効果、宮本大輔氏は胆汁排泄能を有する肝細胞オルガノイドの構築、志水太郎氏はヒトiPS細胞由来肝細胞オルガノイド長期培養系の確立について解説する。移植においては細胞の量やサイズが成否の鍵を握るため、これらの検討が問題解決の糸口となることが望まれる。

 小川憲彦氏は、脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)を用いて非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の細胞治療のmode of action(作用機序)を検討した結果を、武石一樹氏は、人工肝臓の臨床応用を目的としたヒトiPS由来肝細胞の大量培養システムの構築について報告する。橋本直樹氏は、イヌ小腸自家移植モデルに脾動静脈側々吻合を行い部分的門脈動脈化を付加し、間への影響を検討するという興味深いアプローチを解説。最後に登壇する堀江博司氏は、人工肝臓の作成に向けて「脱細胞化」および「再細胞化」に注目。脱細胞化した細胞を再構築するという意欲的なアプローチを紹介する。

 寺井氏は「再生医療では新たなテクノロジーに注目するだけでなく、実臨床で疾患に苦しむ患者を救えるよう臨床試験へとつなげていくことが大切であり、それがNew normalとなっていく。世界の潮流は想像以上に勢いがあり、その流れに乗り遅れないよう、今後取り組むべき課題などについて議論する場にしたい」と述べた()。

図. 肝疾患に対する再生医療のNew Normalを実現するために

(寺井崇二氏提供)

第66回日本消化器病学会大会

[会長]坂本 直哉 
北海道大学大学院 消化器内科学

第108回日本消化器内視鏡学会総会

[会長]矢作 直久 
慶應義塾大学 腫瘍センター

第28回日本肝臓学会大会

[会長]四柳  宏 
東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野

第22回日本消化器外科学会大会

[会長]堀口 明彦 
藤田医科大学ばんたね病院 外科

第62回日本消化器がん検診学会大会

[会長]金岡  繁 
浜松医療センター 消化器内科

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