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11月3日

薬物性肝障害の診断基準改定を目指して

2023年11月03日 06:15

89名の医師が参考になったと回答 

ワークショップ13 提案:日本消化器病学会

11月3日(金) 9:00〜11:20 第4会場(ポートピアホテル南館 ポートピアホール)

[司会]

榎本 信幸氏

山梨大・消化器内科

田中 篤氏

帝京大・内科

[基調講演]

滝川 一氏

帝京大・医療技術部

[演者]

筒井 朱美氏

香川県立中央病院・肝臓内科

渡邊 真彰氏

北里大メディカルセンター・消化器内科

小宮山 泰之氏

山梨大附属病院・消化器内科(1内科)

鶴谷 康太氏

東海大付属病院・消化器内科

辻 恵二氏

広島赤十字・原爆病院・消化器内科

伊藤 隆徳氏

名古屋大附属病院・消化器内科

竹内 康人氏

岡山大病院・消化器内科

今井 径卓氏

県立がんセンター新潟病院・内科

原田 憲一氏

金沢大・人体病理学

上野 昌行氏

倉敷中央病院・消化器内科、京都大大学院・消化器内科学

田中 篤氏

帝京大・内科

 わが国における薬物性肝障害(DILI)診断基準は、2004年の日本消化器関連学会週間(JDDW)で策定されて以来、約20年改定されていない。その間、新たな知見の集積があり除外すべき疾患なども変化してきたため、同診断基準を改定することになった。司会の田中篤氏は「本セッションは、DILI診断基準改定のためのものと位置付けることができる」と述べる。


免疫チェックポイント阻害薬による肝障害も取り上げる

 田中氏は「今回、日本消化器病学会大会会長の名越澄子氏が本セッションを設定したことをきっかけに、DILI診断基準を改定する運びとなった。本セッションの演題応募者全員の協力の下、ミーティングを重ね改定作業を行ってきた」と説明する。ただし、今回策定するDILI診断スコアリングシステム(仮称:RECAM-J 2023)は、DILIである可能性を評価するためのツールで、DILIか否かを判定する診断基準ではない。2021年に欧米の研究者が報告したRECAM(revised electronic causality assessment system)を日本の事情に合うよう改変したものである。

 本セッションは滝川一氏による基調講演で幕を開け、「通常のDILI診断基準」および「免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による肝障害」の2点について議論される。現在臨床現場で使用頻度が高まっているICIは、自己の免疫寛容を解除することから免疫関連有害事象(irAE)として肝障害を惹起する。2004年時点ではICIは存在していなかったため診断基準に含まれなかったが、今回は取り扱うことになった。ただし、ICIによる肝障害に従来のスコアリングシステムはそぐわないため、通常のDILIとは別に策定するという。

 ICIによる肝障害については、日本臨床腫瘍学会の『がん免疫療法ガイドライン』でも取り上げている。しかし、肝障害を十分に拾い上げられない、鑑別すべき疾患が十分に挙げられていないなどの問題も指摘されていることから、肝臓専門医の日常臨床に即したICIによる肝障害の診断指針を新しく策定することになった。

 前半では、筒井朱美氏がDILI診断基準の検討、渡邊真彰氏がRECAMの実用性と問題点、小宮山泰之氏がRECUMとDDW-J2004によるDILIの診断基準の比較検討、鶴谷康太氏が新しく提唱されたRECAMによるDILIの評価、辻恵二氏がDILIの簡易スコアと診断基準改定の提案について解説。後半では、伊藤隆徳氏がICIによるirAE肝障害の臨床的特徴と治療経過の検討、竹内康人氏が自施設におけるDILI診断基準に基づくirAE肝障害の診断状況、今井径卓氏がICIに起因する肝障害の臨床学的検討、原田憲一氏がICIによるirAE肝障害の組織学的解析、上野昌行氏がタモキシフェンによるDILIの頻度および臨床像に関する検討について報告する。現在、これらの発表内容を踏まえ、新しいスコアリングシステムと診断指針の策定作業が進められている。

 田中氏は「各演者が自施設の症例データを用いて、DILI診断基準の提案やICIによる肝障害の特徴などについて発表する予定で、本セッションを聞けば日本のDILIの現状が分かるだろう」と強調。「10演題の終了後、最後に私が新たなDILI診断スコアリングシステムとICIによる肝障害の診断指針として、2つの案を提示するつもりだ。ぜひ、当日の発表を聞いてほしい」と呼びかけた。

 なお、JDDW2023終了後に、日本肝臓学会と日本消化器病学会のウェブサイトに2つの案を掲載し、パブリックコメントを募集するという。その上で必要があればさらに修正を重ね、来年(2024年)には内容を確定し、学会誌などに発表する予定である。

第66回日本消化器病学会大会

[会長]坂本 直哉 
北海道大学大学院 消化器内科学

第108回日本消化器内視鏡学会総会

[会長]矢作 直久 
慶應義塾大学 腫瘍センター

第28回日本肝臓学会大会

[会長]四柳  宏 
東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野

第22回日本消化器外科学会大会

[会長]堀口 明彦 
藤田医科大学ばんたね病院 外科

第62回日本消化器がん検診学会大会

[会長]金岡  繁 
浜松医療センター 消化器内科

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