メニューを開く 検索

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  学会レポート »  特別企画ディベート

11月3日

特別企画ディベート

CQ1 BCLC stage Aの治療法は?
切除 vs. 焼灼 vs. 粒子線
CQ2 BCLC stage C(脈管侵襲陽性肝癌)の治療法は?
切除 vs. 分子標的薬
CQ3 ACLFに対する治療法は?
移植 vs. 内科的治療 vs. 再生治療

2023年11月03日 06:15

95名の医師が参考になったと回答 

日本肝臓学会特別企画(シンポジウム):日本肝臓学会

11月3日(金)9:40〜12:00 第2会場(神戸国際展示場2号館 ホール南)

[司会]

持田 智氏

埼玉医大・消化器内科・肝臓内科

池上 徹氏

東京慈恵会医大・肝胆膵外科

[演者]

河口 義邦氏

東京大・肝胆膵外科

建石 良介氏

東京大・消化器内科

渋谷 圭氏

群馬大附属病院・放射線科、群馬大重粒子線医学センター

森根 裕二氏

徳島大・消化器・移植外科

土谷 薫氏

武蔵野赤十字病院・消化器科

吉住 朋晴氏

九州大・消化器総合外科

中山 伸朗氏

埼玉医大・消化器内科・肝臓内科

高見 太郎氏

山口大・消化器内科

 今回、肝臓学会特別企画として設けたディベートでは、①肝細胞がんの病期分類Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)によるstage A(早期)、②BCLCによるstage C(進行期)、③慢性肝不全の急性増悪(ACLF)―に該当する状況での治療法をテーマに議論する。この企画に携わった第27回日本肝臓学会大会会長の島田光生氏は消化器・移植外科が専門という背景から、消化器内科医だけでなく消化器外科医の視点も強く意識されたセッションになっている。

stage A肝がんに対し同等の位置付けとなった切除と焼灼、粒子線も選択肢に

 まず、①のBCLCでstage Aに相当する肝細胞がんの治療に関しては、これまで長い間、第一選択が切除(手術)、第二選択が焼灼(アブレーション)とされてきた。しかし、初発肝細胞がんに対する外科的切除術とラジオ波焼灼療法の有効性を検討する第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)のSURF trialにて、両者の有効性および安全性はほぼ同等であると示された。そのため、日本肝臓学会の『肝癌診療ガイドライン2021年版』(以下、GL)の治療アルゴリズムでは、stage Aの肝がんにおいて両者に優先順位を付けていない。

 セッションでは河口義邦氏が外科医の立場から、建石良介氏が内科医の立場から、それぞれ切除もしくは焼灼が望ましいstage A肝がん症例の条件などについて検討する。また、近年肝がんに対する放射線治療の一種として保険適用された粒子線治療については、渋谷圭氏が肝切除や焼灼をはじめとする穿刺局所療法の施行が困難なstage A肝がんに対する選択肢としての可能性に言及する。

stage C肝がんにおける免疫複合療法、肝切除後の補助化学療法の優位性を検証

 ②の脈管侵襲陽性肝細胞がんに対しては、BCLC strategyでは分子標的薬による薬物療法の一択であり、日本肝臓学会のGLでは切除可能であれば肝切除を、不能であれば薬物療法が推奨されている。しかし、日本では2022年に免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体デュルバルマブや抗CTLA-4抗体トレメリムマブなどが切除不能肝がんに対し保険適用となり、stage C肝がんの治療戦略もさらなる検討が必要とされている。

 森根裕二氏は、自験例の成績などから、肝切除を先行し術後に補助化学療法〔インターフェロン(IFN)-α+フルオロウラシル(5-FU)〕を加える治療戦略の有用性を考察。一方、土谷薫氏の発表では、所属施設のデータからstage C肝がんに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブによる免疫複合療法の有効性が検証される。

ACLFへの移植医療、内科的治療の是非や再生医療の可能性に言及

 ③のACLFについては、近年日本において診断基準が確立されたが、適切な治療法については現状では統一の見解が得られていない部分がある。

 生体肝移植の有効性に関しては、吉住朋晴氏が自施設のデータなどをもとにACLFの重症度と関連させた検証を行う。また、中山先生は内科的治療の実態を厚生労働省研究班の解析結果から明らかにし、ステロイド投与の妥当性や顆粒球除去の有用性について見解を述べる。

 さらに、非代償性肝硬変で検討されている再生医療に注目し、その可能性をACLFにも広げる取り組みを進めている高見太郎氏も登壇。急性肝不全モデルマウスを対象に、自己骨髄間葉系細胞(MSC)およびMSC由来の細胞外小胞を用いた治療法の検証結果について報告する予定である。

会場内の参加者も交え、「ディベート」の名にふさわしい活発な議論を

 この特別企画で議論されるのは、いずれも肝細胞がんやACLFの治療に際し医療者間で意見が分かれており、最適解が求められているテーマである。多くの参加者が本セッションに集い、登壇者と共に「ディベート」の名にふさわしい活発な議論を交わすことを期待している。

第66回日本消化器病学会大会

[会長]坂本 直哉 
北海道大学大学院 消化器内科学

第108回日本消化器内視鏡学会総会

[会長]矢作 直久 
慶應義塾大学 腫瘍センター

第28回日本肝臓学会大会

[会長]四柳  宏 
東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野

第22回日本消化器外科学会大会

[会長]堀口 明彦 
藤田医科大学ばんたね病院 外科

第62回日本消化器がん検診学会大会

[会長]金岡  繁 
浜松医療センター 消化器内科

無料でいますぐ会員登録を行う

【医師限定】

初回登録で500円分のポイントをもれなく進呈!

(11月末迄/過去ご登録のある方を除く)

  • ・ ご利用無料、14.5万人の医師が利用
  • ・ 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
  • ・ ギフト券に交換可能なポイントプログラム
  • ・ 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ

ワンクリックアンケート

お盆はお墓参り・掃除に行かれますか?

トップ »  医療ニュース »  2023年 »  学会レポート »  特別企画ディベート