胆管癌あるいは転移性肝癌に対する肝移植の現状と展望(Current status and prospects of liver transplantation for cholangiocarcinoma or metastatic liver cancer)
2023年11月04日 06:15
108名の医師が参考になったと回答
Strategic International Session3 提案:日本消化器外科学会
11月4日(土) 9:00〜11:30 第9会場(ポートピアホテル本館 偕楽3)
波多野 悦朗氏
京都大大学院・肝胆膵・移植外科学
日比 泰造氏
熊本大・小児外科・移植外科
Gonzalo Sapisochin氏
University of Toronto
高木 章乃夫氏
岡山大病院・消化器内科
伊藤 孝司氏
京都大大学院・肝胆膵・移植外科学
関 晃裕氏
金沢大附属病院・消化器内科
日比 泰造氏
熊本大・小児外科・移植外科
福光 剣氏
京都桂病院・消化器センター外科
肝胆膵がんは他のがん種と比べ罹患者数は少ないものの、自覚症状に乏しく早期発見が難しいため、難治となりやすい。本セッションでは難治肝胆膵がんの中でも肝門部領域胆管がんと大腸がん肝転移に焦点を当て、両者に対する肝移植の有用性を検討する。既に海外からは優れた成績が報告されており、日本でもそれぞれ「切除不能な肝門部領域胆管がんに対する生体肝移植」「切除不能大腸がん肝転移に対する生体肝移植」の名称で先進医療Bとして承認され、保険適用に向けた検証が開始されようとしている。司会を務める波多野悦朗氏は「海外の動向を踏まえた日本での検討方法が本セッションの論点となるだろう」と述べる。
内科医にも長期予後そして治癒を期待しうる肝移植という選択肢を発信
Keynote Lectureを担当するのは、共同司会を務める日比泰造氏とともにTransplant Oncologyの領域を牽引するGonzalo Sapisochin氏。切除不能肝門部領域胆管がんおよび切除不能大腸がん肝転移への肝移植について、海外で進行している臨床試験の内容を報告する。この領域における日本と海外の違いとして、米国を中心に海外では脳死肝移植が多数を占める一方、日本では生体肝移植であるという点が挙げられる。「脳死肝移植の実例を踏まえ、日本において施行可能な治療を考えるきっかけになるのではないか」と波多野氏は指摘する。
Keynote Lectureに続いては、国内の各施設から胆管がん4演題、大腸がん肝転移1演題が報告される。高木章乃夫氏は、肝細胞がんおよび偶発性肝内・肝外胆管がん患者に対する肝移植後の臨床経過を後ろ向きに見た研究結果を発表する。伊藤孝司氏は、2018年から自施設で実施している切除不能肝門部領域胆管がんに対する生体肝移植の前向き試験の成績を報告する。
関晃裕氏は、自施設の肝門部領域胆管がん患者を後ろ向きに検討し、先進医療における生体肝移植の適応基準を満たした患者背景を評価。約10%が生体肝移植の適応となる可能性があったという。
最後の2演題では、先進医療2件の現状と展望が報告される。日比氏は自施設が中心となって進める「切除不能な肝門部領域胆管がんに対する生体肝移植」を、福光剣氏は「切除不能大腸がん肝転移に対する生体肝移植」をそれぞれ紹介する。後者は波多野氏が研究代表を務めており、既に多くの腫瘍内科医から反響が寄せられているという。同氏は「転移が肝臓だけであれば進行がんでも救命の可能性があり、インパクトが大きいのではないか。今回の発表が腫瘍内科医からの患者紹介につながれば」と期待する。
JDDWは消化器領域における内科医と外科医が集まり、議論を深める場として位置付けられている。同氏は「本セッションをきっかけに内科の先生方にも難治がんへの肝移植という選択肢があることを知ってもらい、外科への紹介につなげてほしい。若手も含め、多くの先生方にご参加いただきたい」と呼びかけている。
第66回日本消化器病学会大会
[会長]坂本 直哉
北海道大学大学院 消化器内科学
第108回日本消化器内視鏡学会総会
[会長]矢作 直久
慶應義塾大学 腫瘍センター
第28回日本肝臓学会大会
[会長]四柳 宏
東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野
第22回日本消化器外科学会大会
[会長]堀口 明彦
藤田医科大学ばんたね病院 外科
第62回日本消化器がん検診学会大会
[会長]金岡 繁
浜松医療センター 消化器内科