第31回日本糖尿病合併症学会レポート
SGLT2阻害薬を整理「診療の参考に」
2型糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬は、血中のブドウ糖を尿糖として排出することで血糖値を低下させることから、脱水や尿路感染症など同薬特有の副作用が懸念されてきた。その一方で、同薬は従来薬にはない降圧や血清脂質改善などの多彩な作用がある。こうした背景から、第31回日本糖尿病合併症学会(10月7~8日)が企画し...
糖尿病患者の尿糖排泄実態明らかに
SGLT2阻害薬は尿糖排泄量を増加させるため、長期投与による安全性などが論議の的となっている。しかしながら、そもそも糖尿病患者の尿糖がどのくらいであるのか。尿糖排泄量とHbA1c値や血糖値との間に相関関係はあるのかなど、糖尿病患者における尿糖排泄の実態を検討した報告は意外と少ない...
SGLT2阻害薬の多面性を実臨床でも実感
患者の約7割を2型糖尿病患者が占める三浦中央医院(神奈川県三浦市)では、SGLT2阻害薬の使用率が増加傾向にあるという。同院院長の瀧端正博氏は、SGLT2阻害薬投与患者を対象に同薬の有効性と安全性を評価し、日本の糖尿病の実臨床においても、HbA1c値の改善とともに、体重や血圧、肝機能などの改善効果が得られた...
8割がHbA1c値と体重がともに改善
栗原内科(札幌市)院長の栗原義夫氏は、同院でSGLT2阻害薬を投与中の2型糖尿病患者を対象に、同薬の有効性と安全性を解析した。投与半年後、約83%がHbA1c値の改善と体重減少の両方が得られたレスポンダーであったことを、第31回日本糖尿病合併症学会共催イブニングセミナー(10月7日)で報告した...
SGLT2阻害薬はキードラッグに?/加来浩平氏が総括
川﨑医科大学総合内科学1特任教授の加来浩平氏は、SGLT2阻害薬には既存薬にはない有用性を示唆する報告が集積されつつあり、特に心血管死減少や腎症抑制効果が示されたEMPA-REG OUTCOME試験の成績から「心血管病既往患者にとってのLife saving drugとなる可能性がある」と第31回日本糖尿病合併症学会共催イブニングセミナー(10月7日)で述べた...
SGLT 2阻害薬の薬理作用をおさらい
グルコース再吸収を抑制し、尿中に排泄することで血糖値を下げるSGLT 2阻害薬は、インスリンとは独立した機序による。SGLT 2阻害薬が日本に登場して約2年が経過したが、SGLT 2はなぜ単独だと低血糖を来しにくいのか、今年(2016年)EMPA-REG OUTCOME試験サブ解析で報告され腎保護作用はどのような機序が考えられるのか...
脂質管理で糖尿病網膜症の予防を
糖尿病細小血管障害や大血管障害の発症・進展予防に血糖管理は重要であるが、それだけでは十分でなく、残存するリスクとして脂質異常症が指摘されている。日本医科大学病院糖尿病・内分泌代謝内科の稲垣恭子氏は、糖尿病患者における脂質代謝異常症の特徴、脂質と大血管障害、細小血管障害との関連について臨床研究から得られたエビデンスを検討し...
手帳で内科・眼科の連携さらに
糖尿病合併症の1つ、糖尿病網膜症による失明は年間3,000人以上に達するといわれている。これは、同疾患が自覚症状のないまま進行してしまうため、糖尿病患者が放置あるいは治療を中断してしまうことが要因とされ、内科と眼科の連携による予防・早期発見への取り組みがなされている...
酸化ストレスの指標が血糖変動を反映か
国立病院機構熊本医療センター糖尿病・内分泌内科部長の西川武志氏は、糖尿病合併症予防におけるHbA1cの意義と限界を考察し、他の血糖関連指標について合併症予防指標としての可能性を検討。1, 5-AGや酸化ストレス指標が血糖変動の指標となる可能性を...