硬膜移植でアルツハイマー型病理変化が伝播か
クロイツフェルト・ ヤコブ病(CJD)に代表されるプリオン病は、異常プリオン蛋白が中枢神経に蓄積することにより、神経細胞変性を来す致死性疾患である。病因によって原因不明の特発性(孤発性)、遺伝性、医源性を含む獲得性に分類される。金沢大学病院神経内科講師の浜口毅氏は、医原性である硬膜移植によるCJD発症例においてアミロイドβ蛋白(Aβ)、異常プリオン蛋白沈着などを評価し、硬膜移植によってアルツハイマー病の病理所見として知られる脳βアミロイドーシスが伝播した可能性を示した...
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「痰の中に虫がいる」、ALSで妄想出現
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者が来しうる精神症状として、認知・行動変化や抑うつ症状が知られているものの、それ以外の精神症状の詳細は明らかではない。国立病院機構医王病院神経内科の本崎裕子氏は、認知機能障害がないにもかかわらず「痰の中に虫がいる」などの妄想を呈したALSの3例を第57回日本神経学会学術大会(5月18~21日、大会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)で報告し、妄想出現の原因解明には病理学的検討が必要であると述べた...
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進行性核上性麻痺には積極的な栄養管理を
進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)は中年期以降に発症する原因不明の神経変性疾患である。易転倒性、垂直性眼球運動障害、パーキンソニズムを特徴とし、徐々に進行して寝たきりとなる。完治させる治療はないが、嚥下障害がしばしば見られることから、経腸栄養による治療が行われる。鳥取大学脳神経内科学分野の瀧川洋史氏らは、経腸栄養がPSP症例の予後に及ぼす影響などを後ろ向きに検討した結果を第57回日本神経学会学術大会(5月18〜21日、会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)で報告した...
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脊髄小脳失調症モデルマウスの寿命を延長
脊髄小脳失調症(SCA)は運動失調を主症状とする神経変性疾患である。根治させる治療法はまだないものの、発症機構の解明や病態モデルの開発、治療研究は急速に進んでいる。東京医科歯科大学難治疾患研究所神経病理学分野教授の岡澤均氏らは疾患関連蛋白HMGB1を発見,これを分子標的とする遺伝子治療法を開発した。同氏は第57回日本神経学会学術大会(5月18~21日,大会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)で、同治療法がSCA動物モデルで示した顕著な治療効果を紹介、今後の可能性についても言及した...
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新薬はギラン・バレー治療の光明となるか
ギラン・バレー症候群はウイルスや細菌感染などが契機となり末梢神経が障害される自己免疫性疾患で、血漿交換および免疫グロブリン静注療法が標準的治療となっている。千葉大学大学院神経内科学教授の桑原聡氏は、同症候群に対する新規治療薬エクリズマブの効果を検討する医師主導治験について概略を第57回日本神経学会学術大会(5月18~21日、会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)のシンポジウムで説明し、日本から革新的な新規治療を発信することに期待を示した...
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赤ちゃん型ロボットで認知症患者を穏やかに
認知症患者に対する非薬物治療としてロボットを用いた介入が試みられている。国立長寿医療研究センター神経内科の山岡朗子氏らは、赤ちゃん型ロボットを活用して認知症の周辺症状や感情への影響、介護負担の軽減について検討し、重度認知症高齢者の一部では、同ロボットを抱くことで穏やかに時間を過ごすことができたと第57回日本神経学会学術大会(5月18~21日、会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)で発表した...
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自己免疫性てんかん診断アルゴリズムを試作
自己免疫性てんかんでは、抗てんかん薬への反応が不良でも免疫治療による介入で発作を抑制しうることから、早期の診断が重要となる。自己免疫性てんかんの診断アルゴリズムを試作した京都大学大学院臨床神経学の坂本光弘氏は「同科患者を対象にその精度を検証し、臨床的に有用なものにするためには炎症病態に関わる検査所見を組み入れたものにする必要があるだろう」と第57回日本神経学会学術大会(5月18~21日、大会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)で述べた...
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POEMS症候群にサリドマイド療法が有用
POEMS症候群(クロウ・深瀬症候群)は複数の臓器や器官に多彩な症状を呈する希少疾患である。急速に進行、重症化することが多く、治療法の確立が急がれているが、患者の少なさゆえに臨床試験の実施は困難とされてきた。同症候群の研究・治療に取り組む千葉大学病院神経内科(教授・桑原聡氏)、臨床試験部(教授・花岡英紀氏)のグループはこのほど、POEMS症候群において世界初の多施設共同二重盲検プラセボ対照のランダム化比較試験(RCT)を完遂。サリドマイド療法が有用であったことを、同科講師の三澤園子氏が第57回日本神経学会学術大会...
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経口薬で重症筋無力症が改善した臨床像
全身の筋力低下を呈し、重症化すると呼吸困難を来すこともある自己免疫疾患の重症筋無力症には、経口ステロイドや免疫抑制薬などの経口免疫療法や血液浄化療法、免疫グロブリン静注療法などが行われる。札幌医科大学保健医療学部教授(附属病院神経内科)の今井富裕氏らは、プレドニゾロンを中心とした経口薬による治療のみで同疾患治療の目標である軽微症状に到達した患者群の臨床背景を調査。発症早期で比較的軽症だと経口薬のみで軽微症状を達成できる可能性が高いことを...
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単純ヘルペスウイルス脳炎診療指針案公表へ
2005年に日本神経治療学会から公表された単純ヘルペスウイルス脳炎診療ガイドラインは、日本神経学会、同学会、日本神経感染症学会の合同(作成委員会委員長:亀井聡氏)で改訂作業が行われており、第57回日本神経学会学術大会(会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)のガイドラインコースでは、診断と治療について現段階での情報が報告された。国立病院機構埼玉病院神経内科の石川晴美氏が「ヘルペス脳炎の転帰改善には迅速な診断と治療開始が重要」と強調した(推奨内容はいずれも予定)...
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TIA後の脳卒中発症率は5.1%
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の前兆であり、TIA発症後早期には脳卒中を続発する危険性が高い。国際多施設共同前向き登録コホート研究であるTIAregistry.orgの第1回運営会議(2008年)において、発症後早期のTIAと急性虚血性脳卒中(AIS)を包括する急性脳血管症候群(ACVS)が提唱されたが、これは脳卒中の発症を水際で予防するために、発症後早期のTIAをAISと同様に救急疾患として認識すべきだとする概念だ...
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保険未適用も書痙にボツリヌス推奨へ
今年度(2016年度)中の公表を予定している日本初のジストニア診療ガイドラインでは、診断や治療についてクリニカルクエスチョンと解説で構成される(関連記事)。同ガイドラインでは、全身性ジストニアと上肢ジストニア(書痙)の治療について、現時点で保険適用されていないものの、ボツリヌス毒素療法が高いエビデンスレベルで推奨される予定だ。鳥取大学病院神経内科の野村哲志氏が第57回日本神経学会学術大会(5月18~21日、会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)の「ガイドラインコース」で述べた(文中の推奨度はいずれも予定)...
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日本初のジストニア診療ガイドライン作成中
日本神経学会のジストニア診療ガイドライン委員会(委員長:梶龍兒氏)では,日本初のジストニア診療ガイドラインを作成しており,今年度中の公表を予定している。第57回同学会学術大会(5月18~21日、会長=徳島大学大学院臨床神経科学分野教授・梶龍兒氏)の「ガイドラインコース」では同ガイドラインの構成や内容について,現段階での情報が報告された(関連記事)。岡山旭東病院神経内科部長の柏原健一氏は,眼瞼痙攣,痙性斜頸の治療で確立したエビデンスがあるのはボツリヌス毒素療法のみであると述べた(文中の推奨度はいずれも予定)...
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脳卒中急性期への低用量rt-PA、非劣性示せず
アジア人は脳出血リスクが高く血栓溶解療法に際しても注意を要する。わが国では脳卒中急性期における遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)アルテプラーゼの低用量投与(0.6mg/kg)が承認されているが、これは単一群オープンラベル試験の結果に依拠している。このほど、低用量rt-PA治療の予後への影響を標準用量治療と比較したランダム化試験ENCHANTED※の結果がN Engl J Med(2016年5月10日オンライン版)に発表された...
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【共同企画】「なおる」診療科へ―新たなステージに入った神経内科
神経内科は「なおらない」「わからない」診療科といわれてきたが,近年では遺伝子研究などの 進歩に伴い,多くの難治性疾患において病態の解明や新たな治療法の開発が進んでいる...
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うつ病治療の最先端「TMS」の研究施設開設
抗うつ薬の副作用が懸念される中、非薬物療法への期待が高まっている。特に注目を浴びているのが、経頭蓋磁気刺激(TMS)療法だ。間もなく保険収載が予想されているこの治療法を、専門に行う施設「お茶の水うつ病クリニック」とともに5月10日、東京・御茶ノ水に「日本TMS研究研修センター」が開設された...
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AHA/ASAが初の脳卒中後リハビリGL
米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)が合同で,脳卒中後の成人患者のリハビリテーション(以下,リハビリ)に関する初のガイドライン(GL)をStroke(2016年5月4日オンライン版)に発表した。同GLでは,入院施設でのリハビリの開始や,退院前に患者と介護者が転倒予防プログラムを受けることなどを推奨している。...
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頭蓋内動脈狭窄 虚血性脳卒中への影響は?
島根大学神経内科の高吉宏幸氏らは,脳ドック受診者約2,800例を対象に,アジア人の虚血性脳血管障害に関連する頭蓋内動脈硬化性病変による長期予後を縦断的に検討した。同病変のうち,軽度〜中等度の無症候性頭蓋内動脈狭窄(ICAS)が認められた受診者では,ICASがなかった者に比べて虚血性脳血管障害の発症率が有意に高く...
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リウマチ性疾患も脳卒中発症リスクと関係
関節リウマチ(RA)だけでなく,リウマチ性疾患を有する患者は一般集団と比べ脳卒中発症リスクが高いと,英国のグループがStroke(2016; 47: 943-950)に発表した...
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抗血栓薬の周術期管理で休薬群に出血リスク
ワルファリンやアスピリン,非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)などの抗血栓薬における周術期管理法は,現時点では確立していない。国立病院機構の周術期患者を前向きに登録し観察するMARK研究において,周術期に抗血栓薬を休薬する群は,継続する群に比べて静脈血栓塞栓症(VTE)などの血栓・塞栓症の発症はもとより...
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大脳白質の変化が肺がん脳転移に影響
肺がん患者では,脳への転移が多いことが指摘されている。静岡県立静岡がんセンター脳神経外科医長の林央周氏らは,肺がん患者を前向きに検討した結果,大脳白質の変化が軽度な患者ほど,脳転移の発生率が高かったと,第41回日本脳卒中学会総会(4月14~16日,会長=北海道大学大学院脳神経外科教授・寳金清博氏)で報告した...
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ボツリヌス毒素による脳疾患治療GLが改訂
米国神経学会(AAN)が,ボツリヌス毒素(BoNT)と脳疾患治療に関する2008年のガイドライン(GL)を8年ぶりに改訂し,Neurology(2016年4月18日オンライン版)と第68回AAN年次集会(4月15〜21日,バンクーバー)で発表した。改訂GLの対象となるのは4つの疾患で,米国で使用されているBoNT含有の4製剤について...
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抗コリン薬使用が脳萎縮進展と関連
抗コリン薬の使用は認知機能の低下や認知症リスクと関連することが報告されているが,脳画像により抗コリン薬の影響を示した報告はなかった。米・Indiana UniversityのShannon L. Risacher氏らは,高齢者の認知機能変化を追跡している縦断研究において,認知機能が正常な高齢者の脳に,抗コリン薬の使用でどのような変化が起こるのかを検討...
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入院前ステロイドで脳卒中後の死亡率が上昇
入院前のステロイド使用が脳卒中患者の30日死亡率の上昇と関係すると,デンマークのグループがStroke(2016; 47: 829-835)に発表した...
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むずむず脚の女性は骨の健康状態が良好
レストレスレッグス症候群(RLS)の女性は骨の健康状態が良好であることを示すデータが,トルコのグループによりNeurology(2016; 86: 1235-1241)に発表された...
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ALSに既存薬が効く可能性―iPS細胞研究
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンの変性により,四肢の筋力低下,筋萎縮と痙直を来す神経変性疾患で,有効な治療法の開発が待望されている。慶應義塾大学生理学教室教授の岡野栄之氏らは,人工多能性幹(iPS)細胞を用いた創薬研究において,家族性ALS の発症に神経突起長の短縮が関わることから,有効な既存薬を検討するためドラッグリポジショニングのスクリーニングを実施したところ...
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福山型筋ジスは核酸医薬で治療可能
筋ジストロフィーの中でも福山型筋ジストロフィー(FCMD)は10歳代で死亡に至る例が多い予後不良の遺伝性疾患である。最近,FCMDに関わる遺伝子異常とそれに伴う発症メカニズムが明らかにされた。さらに,核酸医薬の開発が進められている。発症メカニズムの解明と治療薬開発に携わった神戸大学大学院小児科の池田真理子氏に聞いた...
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HPVワクチン後症状の厚労省研究成果が発表
3月16日,厚生労働省が「ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会」を開催した...
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ヘルペスウイルス感染が小児の脳梗塞と関係
ヘルペスウイルス感染が小児の脳梗塞(動脈性虚血性脳卒中:AIS)と関係する可能性があると,米・Columbia UniversityのグループがCirculation(2016; 133: 732-741)の2月23日号に発表した...
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