ESMO Asia 2018 欧州臨床腫瘍学会アジア大会
ESMO Asia 2018 欧州臨床腫瘍学会アジア大会(11月23~25日、シンガポール)のレポートをご覧いただけます
低用量ゲムシタビンの非劣性を第Ⅲ相で証明
進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、低用量(標準用量の4分の1)ゲムシタビンの長時間での投与とプラチナ製剤の併用は、標準用量のゲムシタビン+プラチナ製剤の併用と比べて、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)は同様で、かつ有害事象の発生も増加しないことが、非劣性を検証する第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)で示された。インド・Tata Memorial HospitalのArun Chandrashekharan氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告した。
がん希少変異を標的とした治療開発が躍進
近年、がん患者の希少遺伝子変異を標的とした治療開発の進歩が目覚しい。そうした希少変異の1つであるNTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者において、全身および頭蓋内のいずれの腫瘍に対してもROS1/TRK阻害薬entrectinibが臨床的に意義のある持続的な効果を示したとする3件の臨床試験の統合解析の結果をオーストラリア・Olivia Newton-John Cancer Research Institute教授のThomas John氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告した。解析は、日本を含む15カ国150施設で実施された第Ⅱ相試験STARTRK-2の他、2件の第Ⅰ相試験のデータを統合して行われた。同氏によると、主要評価項目である奏効率(ORR)は57.4%で、ベースライン時に中枢神経系(CNS)転移を呈していた患者における頭蓋内ORRも54.5%に達していたという。
TKI 2剤で約4年生存:EGFR陽性肺がんのアジア人
予後不良とされていた肺がん患者の予後は、治療の進歩により劇的に改善しつつある。そのような中で、初回治療だけでなく、二次治療以降を見据えた治療シークエンスがより重視されるようになってきている。シンガポール・National University HospitalのRoss A. Soo氏は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)において、実臨床で分子標的治療薬を用いた肺がん治療シークエンスを検討した初の国際研究として、後ろ向き観察研究Gio Tagの結果を報告。上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、一次治療としてアファチニブを投与し、T790M変異が発生した患者に二次治療としてオシメルチニブを投与した場合、投与期間の合計は全体で27.6カ月、アジア人患者では46.7カ月となり、化学療法を長期間回避できる可能性を示した。
小細胞肺がん免疫治療、全脳照射の影響は
進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)では、全身療法による効果が認められた患者の一部に脳転移リスクの低減を目的とした予防的全脳照射(prophylactic cranial irradiation;PCI)を施行する場合があるが、PCIは神経学的な有害事象と関連することが報告されている。先ごろ発表された二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験IMpower133では、ES-SCLCの一次治療において標準化学療法(プラチナ製剤+エトポシド)に抗PD-L1抗体アテゾリズマブを追加することで全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が示された一方、対象の一部にはPCIが施行されていた。中国・香港中文大学臨床腫瘍学教授のTony Mok氏は、同試験のPCI施行患者における中枢神経系(CNS)関連の有害事象の解析結果を欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告、新たな安全性の問題は認められなかったことを明らかにした。
アレクチニブ、アジア系肺がんでも予後改善
アジア系の未治療ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第Ⅲ相試験ALESIAにおいて、第二世代ALK阻害薬であるアレクチニブが第一世代ALK阻害薬クリゾチニブと比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示され、グローバル第Ⅲ相試験ALEXと一貫した結果が得られた。中国・Sun Yet-Sen University Cancer Center のLi Zhnag氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2018、11月23~25日、シンガポール)で報告した。