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第41回日本高血圧学会総会

第41回日本高血圧学会総会(2018年9月14~16日/旭川市民文化会館・星野リゾートOMO7旭川)のレポートをご覧いただけます

日本高血圧学会が"旭川宣言"、GL改訂案も

 第41回日本高血圧学会(JSH)が、9月14~16日、北海道旭川市で1,700人超の参加者を集めて開催された。会長を務めた旭川医科大学循環・呼吸・神経病態内科学分野教授の長谷部直幸氏は開会式冒頭、直前の9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震の犠牲者とその家族に哀悼の意を表明。「震災の悲劇を乗り越えて立ち上がらなければならないとの決意を込め、あくまで前向きの姿勢で学会開催の道を選択した」と経緯を説明し、参加者の理解と支援を求めた。同学会では「JSHダイバーシティ推進旭川宣言(JSH旭川宣言)」が発表。来春発刊予定のJSH『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)の現時点での改訂案も示された。

10年で700万人の高血圧患者減少を目指す

 心血管疾患の最大の危険因子である高血圧の制圧を目指し、日本高血圧学会(JSH)が新たなかじを切った。「JSHみらい医療計画~JSH Future Plan~」が第41回JSH(9月14~16日)で公表。新理事長の伊藤裕氏(慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科教授)は、10年間で700万人の高血圧患者減少などを目ざすと述べた。

高血圧の分類名を変更、定義は変更なし

 米国の大規模臨床試験SPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)で用いられた、自動血圧計による診察室血圧測定法(Automated OfficeBlood Pressure;AOBP)をわが国で使用して診察室血圧(OBP)、家庭血圧(HBP)などとの関係性を検討したSPRINT-Jパイロット試験の結果が第41回日本高血圧学会(9月14〜16日)で報告された。同試験の提案者で来年(2019年)改訂予定の日本高血圧学会高血圧ガイドライン(GL、JSH2019)作成委員会委員長でもある横浜労災病院院長の梅村敏氏は、同試験の結果を踏まえた現時点におけるJSH2019(案)を発表した。高血圧の定義に変更はないが血圧値の分類名を変更、一部の降圧目標を厳格化する予定だという。

健診後の受療率・血圧管理改善に秘策あり

 心血管疾患(CVD)の抑制に向け、より早期の生活習慣病の発症予防を目指して、特定健診・特定保健指導が導入されたのは2008年のこと。受診率は向上してきたものの、健診時に重症高血圧を指摘された例においても、今なお約4割は未治療のままであるのが現状だ。そうした中、大阪大学大学院公衆衛生学招へい准教授の野口緑氏らは、積極的な受療行動促進モデルによる保健指導プログラムが、健診後の受療率や血圧・血糖・脂質などの管理改善に有効であることを、第41回日本高血圧学会(9月14~16日)で発表した。全国43自治体を対象としたクラスター・ランダム化比較試験J-HARP研究1)により明らかにしたもの。

医師の85%が高血圧治療に"困っている

 高血圧の診断・治療は進歩しているにもかかわらず、降圧目標達成率は極めて低い状況にある(Hypertension paradox)。「保健活動を考える自主的研究会」のメンバーで旭川医科大学内科学講座講師の中川直樹氏は「かかりつけ医に対する高血圧アンケート集計結果」を第41回日本高血圧学会(9月14〜16日)で報告。「実地医家の約85%は高血圧治療に困っていることが分かった。高血圧患者には保健指導が必要で、そのためには専門医、かかりつけ医、薬剤師、保健師・栄養士、行政などの多職種連携が重要」と述べた。

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