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第59回日本神経学会学術大会レポート

第59回日本神経学会学術大会(2018年5月23日(水)〜26日(土)/ロイトン札幌・さっぽろ芸術文化の館・札幌市教育文化会館)のレポートをご覧いただけます

脊髄性筋萎縮症の臨床所見を見逃すな

最高到達運動機能によるSMAのサブタイプ分類

 指定難病でもある脊髄性筋萎縮症(SMA)は運動ニューロン病の一種で、乳児期発症型では人工呼吸器を用いなければ2歳を迎える前に90%以上が死亡するという。しかし、昨年(2017年)初の治療薬が発売され、現在も新規治療法の開発が進められている。東京女子医科大学臨床ゲノムセンター所長の斎藤加代子氏は...続きを読む

プリオン病の診断基準の問題点

プリオン病の診断基準の問題点

 プリオン病は、脳組織における海綿状変化と異常プリオン蛋白(scrapie prion protein;PrPSc)の蓄積を特徴とし、同種間または異種間で伝播しうる。金沢大学大学院脳老化・神経病態学の浜口毅氏は、国内のプリオン病の罹患状況と臨床像について第59回日本神経学会(5月23〜26日)で解説し...続きを読む

A2A受容体拮抗薬がPD姿勢異常を改善

A2A受容体拮抗薬がPD姿勢異常を改善

 パーキンソン病(PD)患者の3分の1で認められるとされる姿勢異常。難治性で患者のQOLおよびADL低下の大きな要因となるが、治療法は確立されていない。獨協医科大学神経内科准教授の鈴木圭輔氏らは、PD患者の姿勢異常に対するアデノシンA2A受容体拮抗薬イストラデフィリンの有効性について検討。その結果、姿勢異常が改善したと第59回日本神経学会(5月23~26日)で報告した...続きを読む

嗅覚障害がPD患者の認知症発症予測因子に

嗅覚障害がPD患者の認知症発症予測因子に

パーキンソン病(PD)患者の多くは長期経過により認知症に移行し、これが予後を規定することが明らかにされている。予後改善には、パーキンソン病認知症(PDD)を早期に捉えて治療介入することが必要と考えられる。東北大学病院高次脳機能障害科講師(現・国立病院機構仙台西多賀病院脳神経内科医長)の馬場徹氏らは、PDDの予防・早期発見に向けた臨床研究に取り組んでおり、「これまでの知見から画像所見、嗅覚障害が...続きを読む

片頭痛改善に期待される治療法とは

片頭痛改善に期待される治療法とは<

 片頭痛と心疾患は相互に発症リスクを高めている可能性があり、特に卵円孔開存(PFO)との関連が注目されている。富永病院(大阪市)副院長で脳神経内科・頭痛センターの竹島多賀夫氏は、第59回日本神経学会(5月23~26日)のシンポジウム「片頭痛の謎を解き明かす」で、片頭痛の治療としての経皮的PFO閉鎖術について「現時点では推奨できるものではないというのが一致した意見である。しかし、デバイスの改善や症例選択を工夫することで、将来的に有望な治療法となる可能性もある」との見解を示した。...続きを読む

レビー小体認知症は精神症状見逃すな

レビー小体認知症は精神症状見逃すな

 レビー小体病(LBD)は、レビー小体を病理学的特徴とするパーキンソン病(PD)やパーキンソン病認知症(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)を包括する疾患概念であるが、DLBとPD/PDDに本質的な違いがあるかどうかは不明である。名古屋大学大学院精神医療学の藤城弘樹氏〔現・かわさき記念病院(神奈川県)診療部長〕はDLBとPDの病理学的背景の違いについて考察...続きを読む

「新てんかんGL」薬剤は患者ごとに選択を

 近年、日本で処方される抗てんかん薬の種類は増加している。患者の背景に合わせた選択が可能になった半面、薬剤選択が悩ましくなった面も否定できない。国際医療福祉大学神経内科教授の赤松直樹氏は、今年(2018年)3月に改訂された日本神経学会の『てんかん診療ガイドライン』(GL)の薬物療法について、第59回日本神経学会(5月23〜26日)で解説...続きを読む

自己免疫性消化管運動障害の臨床像を分析

自己免疫性消化管運動障害の臨床像を分析

 熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学の向野晃弘氏らは、わが国における自己免疫性消化管運動障害(autoimmune gastrointestinal dysmotility;AGID)の臨床的特徴と治療反応性の検討を目的に、後ろ向きおよび前向きコホート研究を実施。同氏は「わが国にもAGIDは存在しており、免疫療法が有効である可能性が示唆された」と第59回日本神経学会(5月23~26日)で報告した...続きを読む

抗NMDA受容体脳炎の疑い診断基準を検証

自己免疫性消化管運動障害の臨床像を分析

 抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)脳炎の診断をめぐっては、2016年にPossible(可能性あり)、Probable(疑い)、Definite(確定)の3段階から成る診断基準が提唱された(Lancet Neurol 2016; 15: 391-404)。北里大学神経内科の金子厚氏らは、このうちProbable診断基準の妥当性を検証した結果を第59回日本神経学会(5月23~26日)で報告し...続きを読む

ギラン・バレー、日本から国際標準治療を

走行可能まで回復した患者の割合

 自己免疫による末梢神経疾患であるギラン・バレー症候群(GBS)は、経静脈的免疫グロブリン療法(IVIg)が標準的治療となっているが、この治療を行っても死亡率は5%、1年後の独歩不能は20%と、その有効性は十分でなく、より効果の高い革新的治療法が求められている。そこで日本では、2015〜16年にGBSに対するエクリズマブの有効性と安全性を検討する治験 Japanese Eculizumab Trial for GBS(JET-GBS)が実施され...続きを読む

SBMAへのリュープロレリン治療を検討

 四肢、顔面などの筋力低下と筋萎縮が現れる球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子CAG繰り返し配列の異常伸長が原因であり、変異AR蛋白質がテストステロンと結合し核内に集積することが本質的病態と考えられる。LH-RHアゴニストのリュープロレリンは、テストステロンの分泌を抑制することで変異AR蛋白質の集積を抑える薬剤として研究が進められ、2017年にSBMAの進行抑制としての適応が追加承認された...続きを読む

脊髄小脳変性症の登録システムJ-CATは有用

 脊髄小脳変性症(SCD)は、分子レベルの背景に応じて臨床症状が異なる多様な障害から成る疾患群である。治療法の開発においては病型別の自然歴を明らかにする必要があるが、わが国でSCDの自然歴を検討した前向き研究は極めて少ない。このような状況を受けて、SCDを中心とする運動失調症の登録システムJ-CAT(Japan Consortium of Ataxias)が設立された...続きを読む

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