エキスパートが見た米国腎臓学会2019・前編
2019年11月5〜10日にワシントンD.C.で開催された米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019)。Medical Tribuneは、同学術集会に毎年参加している深水圭氏(久留米大学内科学講座腎臓内科部門主任教授)に今回関心を持った発表について概説してもらうとともに、その研究の意義や結果がもたらされた背景、今後の腎臓病治療への影響などについて考察をお願いした。その概要を2回に分けて紹介する...
エキスパートが見た米国腎臓学会2019・後編
2019年11月5〜10日にワシントンD.C.で開催された米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019)。Medical Tribuneは、同学術集会に毎年参加している深水圭氏(久留米大学内科学講座腎臓内科部門主任教授)に今回関心を持った発表について概説してもらうとともに、その研究の意義や結果がもたらされた背景、今後の腎臓病治療への影響などについて考察をお願いした。今回はSGLT2阻害薬カナグリフロジンの大規模臨床試験CREDENCEのサブグループ解析を取り上げる...
蛋白尿検査をスマホで簡単に
米・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのThida C. Tan氏らは、スマートフォンを用いて蛋白尿を検査するプラットフォームを開発。慢性腎臓病(CKD)患者を対象に行った予備的研究において、従来の尿化学分析装置で得られた検査結果と高い一致率を示したことを米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019、11月5〜10日、ワシントンD.C.)で報告した...
バダデュスタット、日本人透析未導入にも有望
慢性腎臓病(CKD)患者の腎性貧血に対する新規作用機序の薬剤として、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が注目を集めている。東京大学大学院腎臓・内分泌内科教授の南学正臣氏らは、非透析依存性のCKD(NDD-CKD)患者を対象にHIF-PH阻害薬バダデュスタットを従来薬と比較した国内初の第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)の結果を米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019、11月5〜10日、ワシントンD.C.)で発表。バダデュスタットがNDD-CKD患者における腎性貧血治療の新たな選択肢として有望であることを示した...
CKD患者ではがん発症率・死亡率が高まる
慢性腎臓病(CKD)患者はがん発症リスクが高く、がんの予後にも悪影響を及ぼす可能性があるとされるが、それらに関するデータは限られておりばらつきも見られる。カナダ・University of Toronto のAbhijat Kitchlu氏らは、CKD患者を対象としたコホート研究を実施。CKD患者ではがんの新規発症率および死亡率が高まることを⽶国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019、11⽉5〜10⽇、ワシントンD.C.)で報告した...
eGFRの変動は全死亡リスクを高める
心血管疾患(CVD)リスクを有する非糖尿病高血圧患者を対象に、収縮期血圧120mmHg未満を目標とした厳格な降圧治療がCVDイベントと全死亡を有意に抑制することを明らかにしたSPRINT試験(N Engl J Med 2015; 373:2103-2106)。一方、同試験のサブグループ解析では厳格な降圧治療により慢性腎臓病(CKD)のリスクが高まることが示されている(関連記事:厳格降圧によりCKDの発症増加)。米・University of California, San Diego(UCSD)のRakesh Malhotra氏らが、同試験参加者を対象に推算糸球体濾過量(eGFR)の経時的な変動とCVDイベントおよび全死亡との関連を検討した結果、eGFRの変動が大きいと全死亡リスクが上昇することを米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019、11月5〜10日、ワシントンD.C.)で報告した...
ロキサデュスタットは透析未導入CKDにも有効
ロキサデュスタットは慢性腎臓病(CKD)患者の腎性貧血を改善するファースト・イン・クラスの低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素(PH)阻害薬で、日本では今年(2019年)9月に透析期の腎性貧血に対し承認されている(関連記事:透析期の腎性貧血に新経口治療薬)。米・Northwell HealthのSteven Fishbane氏らは、非透析依存性CKD(NDD-CKD)患者を対象としたロキサデュスタットの国際共同第Ⅲ相ランダム化比較試験OLYMPUSの結果を米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019、11月5〜10日、ワシントンD.C.)で発表。同薬がNDD-CKD患者においてヘモグロビン(Hb)を増加し、レスキュー療法を大幅に減らしたと報告した...
カナグリフロジンの腎保護、高度低下例でも
慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンによる腎および心血管の両アウトカムの改善を示した大規模臨床試験CREDENCE※1は、腎アウトカムを主要評価項目とする臨床試験で初めてSGLT2阻害薬の有効性を示し、その主解析の結果は大いに注目された(関連記事:カナグリフロジンで腎アウトカムが改善)。米・University of Chicago MedicineのGeorge Bakris氏は、同試験の対象者のうちベースライン時に推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満であった集団のサブグループ解析の結果を米国腎臓学会腎臓週間(ASN Kidney Week 2019、11月5~10日、ワシントンD.C.)で発表。高度腎機能低下例においてもカナグリフロジンはプラセボと比べてeGFRの低下を抑制し、腎・心血管・死亡アウトカムも主解析と一貫した結果が示されたと報告した...