ニンテダニブ、SSc間質性肺疾患で効果確認/日本を含む国際共同第Ⅲ相試験SENSCIS
ニンテダニブは、特発性肺線維症(IPF)だけでなく全身性強皮症(SSc)に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)にも有効であることが、日本を含む国際共同第Ⅲ相試験SENSCISの結果から明らかになった。スイス・University Hospital ZurichのOliver Distler氏によると、プラセボに比べニンテダニブは投与開始52週後においてSSc-ILD患者の努力肺活量(FVC)の年間低下量を44%有意に抑制したという。「ニンテダニブはIPFだけでなく、現在、治療法が極めて限られているSSc-ILDにも光明をもたらすことが期待される」と同氏は述べた。
敗血症への病型別治療で予後改善
敗血症患者は4つの臨床病型に分類でき、各病型に適した治療を行えば予後が改善する可能性があることが、約6万例の敗血症患者のデータを後ろ向きに解析した研究で示された。研究を行った米・University of PittsburghのDerek Angus氏らによると、これらの病型は宿主生体反応のバイオマーカーや死亡率と有意に関連しており、今後、病型別に治療の有効性を検証する臨床試験の実施につなげたいとしている。この結果は米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で発表され、JAMA(2019年5月19日オンライン版)に同時掲載された。
ウルトラライトのたばこも肺がん転帰不良
1950年代以降、健康リスクへの関心に反応して、フィルター付き、メンソール入り、あるいは低タールのたばこが相次いで発売された。しかし、こうした変化にもかかわらず、依然として喫煙は肺がんの90%と関係しており、がん関連死の第一位の死因である。米・Medical University of South Carolina のNina Thomas氏らは、たばこのタイプによる肺がん罹患率や死亡率などへの影響に関するNational Lung Screening Trial(NLST)サブ解析を実施。ライト/ウルトラライトのたばこはレギュラーたばこと臨床アウトカムに差がないことを米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で明らかにした。
PAH治療初期からの3剤併用で生存率が改善
特発性あるいは遺伝性の重症肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者を対象とした小規模な研究で、静注プロスタサイクリン(PGI2)製剤を含む治療初期からの3剤併用は、心機能や運動耐容能、血行動態を劇的に改善した(Eur Respir J 2014; 43: 1691-1697)。しかし、より大規模なPAH患者集団で、治療初期からの3剤併用が長期生存に及ぼす影響は十分に検討されていない。フランス・Université Paris-Sud 11のAthenais Boucly氏らは、治療初期からの非経口PGI2製剤を含む3剤併用により、新規発症PAH患者の生存率が有意に改善したとの解析結果を、米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で発表した。
凝固異常を伴う敗血症患者への抗血栓薬は有効か/トロンボモジュリン製剤の第Ⅲ相SCARLET試験
遺伝子組み換え型ヒト可溶性トロンボモジュリン(rhsTM)投与により凝固異常を伴う敗血症患者の死亡率が低減することが海外の第Ⅱ相臨床試験において示唆されている(Crit Care Med 2013; 41: 2069-2079)。フランス・Inserm CIC-1435 & UMR-1092のBruno Francois氏は、凝固異常を伴う敗血症患者を対象としたrhsTMの第Ⅲ相試験SCARLETの結果について、28日後の全死亡はプラセボ群と有意差が認められなかったと米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で発表した。詳細はJAMA(2019年5月19日オンライン版)に同時掲載された。
ARDSへの筋弛緩薬で生存率は改善せず/1,000例超対象の多施設RCT
人工呼吸器を装着した中等症~重症の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者に対し、筋弛緩薬の持続投与を併用する深い鎮静を行っても、同薬を使用しない浅い鎮静と比べて90日生存率に差はないことが示された。米・University of ColoradoのMarc Moss氏が、米国人ARDS患者1,000例超を対象とした多施設ランダム化比較試験(RCT)Reevaluation of Systemic Early Neuromuscular Blockade(ROSE)の結果を米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で発表、詳細はN Engl J Med(2019 ; 380: 1997-2008)に同時掲載された。なお、同試験は第2回中間解析の時点で早期無効中止となった。
COPDの急性増悪「好酸球数でガイド治療」/コルチコステロイド節約治療に効果
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪に対し、標準治療として高用量全身性コルチコステロイドの5日間投与が行われているものの、死亡を含むハードエンドポイントへの有用性は示されておらず、重篤な副作用への懸念もある。そのような中、デンマーク・Herlev-Gentofte University HospitalのPradeesh Sivapalan氏らは、好酸球数を指標として行うコルチコステロイド節約治療は標準治療と同等のアウトカムが期待できるとするランダム化比較試験の成績を、米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で明らかにした。
吸入ステロイドはプラセボと有意差なし/喀痰中好酸球数低値の軽症気管支喘息対象の二重盲検クロスオーバー試験
長年気管支喘息治療のゴールドスタンダードと考えられてきた吸入ステロイド薬が、喀痰中好酸球数が低値の患者では約4分の3がプラセボと同等の効果しか認められないことが分かった。米・University of California, San FranciscoのStephen C. Lazarus氏らは、軽症持続型喘息患者約300例を対象に行った吸入ステロイド薬および長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の効果をプラセボと比較する二重盲検クロスオーバー試験の結果を米国胸部学会(ATS 2019、5月17~22日、ダラス)で発表した。