なぜPALLAS試験はネガティブだったのか
9月にウェブ開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、乳がん領域における重要な演題が複数発表された。これを受けて、第28回日本乳癌学会(10月9~31日、ウェブ開催)では緊急特別企画「ESMOでの発表徹底議論」が設けられた。ここでは、ESMO 2020で発表された2件の第Ⅲ相試験(PALLASおよびmonarchE)の結果を中心に、乳がんの周術期のCDK4/6阻害薬について考察した兵庫県立がんセンター腫瘍内科部長の松本光史氏の発表を紹介する...
IMpassion130とIMpassion131の結果はなぜ異なったのか
今年(2020年)9月にウェブ開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、切除不能局所進行/転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の一次治療における抗PD-L1抗体アテゾリズマブの上乗せ効果を検証した2件の重要な第Ⅲ相ランダム化比較試験の成績が報告され、対照的な結果が示された。1件目は、進行TNBCの一次治療におけるアテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用療法を標準治療とする根拠となったIMpassion130試験の全生存期間(OS)の最終解析。もう1件は、同じく進行TNBCの一次治療においてアテゾリズマブ+パクリタキセル併用療法の有効性および安全性を検証したIMpassion131試験...
難治乳がんに著効のsacituzumab govitecan、日本での開発戦略は?
今年(2020年)の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、難治性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab govitecanの高い効果を示した第Ⅲ相ランダム化比較試験ASCENTの結果が報告され、注目を集めた(関連記事「新規抗体薬物複合体が進行TNBCのPFS、OSをともに改善」)。同試験の結果を踏まえ、国立国際医療研究センター乳腺・腫瘍内科の下村昭彦氏は第28回日本乳癌学会(2020年10月9~31日、ウェブ開催)において、...
乳がん周術期のICIの位置付けは?
今年(2020年)の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)において、早期のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前化学療法における抗PD-L1抗体アテゾリズマブの上乗せ効果を検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験IMpassion031の結果が示され、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善したことが報告された(関連記事「アテゾリズマブが乳がん術前療法で奏効」)。この結果を踏まえ、国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科医長の下井辰徳氏は、...