がん検診から救命につなげる鍵は「多職種連携」と「精度向上」

　JDDW 2020の一環として開催される第58回日本消化器がん検診学会大会のテーマは、「多職種連携・精度向上への挑戦」です。日本人の死因第一位は悪性新生物であり、その約半数を消化器系のがんが占めるとされています。日本のがん診療の水準が極めて高いことを考慮すると、検診でがんを早期に発見し効率良く治療に結び付けることが重要です。

　しかし、現状では検査から治療へのスムーズなフローが構築できていないという課題があり、日本における胃がんや大腸がんの検診受診率は30～40％程度にとどまっています。そこで本会のテーマの1つとして、自治体などを含めた多職種の連携を掲げました。5学会が一堂に会することで、治療を担う先生方との交流も活発になると期待しています。

　また、画像検査を活用するがん検診においては、画像精度と読影技術の向上も重要です。近年、当会では新たに消化器がん検診総合認定医制度や読影補助認定制度、大腸CT検査技師認定制度を策定するなど、精度向上と人材の育成に努めてきました。こうした背景から、当会が主催する特別講演および海外招待講演では検査精度をテーマとしたプログラムを組み、パネルディスカッションの主題も「胃がんX線・内視鏡検診の精度管理」「大腸がん検診の精密検査における精度管理」としました。

　新型コロナウイルス感染拡大の影響により、JDDW 2020は実地とウェブ配信を組み合わせたハイブリッド形式で開催する予定です。時間と空間を上手く使った自由度の高い学会になるとともに、医療従事者全体のレベルの底上げにつながることを期待します。今後ますます重要性を増すと考えられる消化器がん検診について、楽しく学べる場にしたいと考えています。