うつ病治療の標準化が不十分、初の実態調査
福岡大学精神医学教室の飯田仁志氏は、第18回日本うつ病学会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会(7月8~10日、ウェブ併催)で、国内におけるうつ病治療の実態を調べた結果を報告。抗うつ薬の単剤治療を実施していた施設は6割にとどまり、施設間で大きな差があるなど治療の標準化が不十分である実態が明らかになった。また抗不安薬・睡眠薬の併用が7割と高率で見られた他、薬物治療以外では電気痙攣療法(mECT)、認知行動療法(CBT)の実施率が...
双極性障害への抗うつ薬処方、是非は?
双極性障害の治療では病相の反復を防ぐため、躁状態とうつ状態の転換の抑制を意識する必要がある。しかし、単極性うつ病と診断されている、あるいはうつ状態が遷延するといった理由から抗うつ薬を使用し、経過が安定しないケースも少なくない。労働者健康安全機構関西労災病院(兵庫県)精神科部長の菅原裕子氏は、第18回日本うつ病学会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会(7月8~10日、ウェブ併催)で、そうした経過が安定しない双極性障害患者に対する薬物療法について見解を述べた。...
うつ病の維持療法としてのrTMS
大うつ病性障害(うつ病)患者のうち薬物療法が奏効しない症例は3分の1に上るという。国立精神・神経医療研究センター病院第一精神診療部部長兼臨床心理部部長の鬼頭伸輔氏は、うつ病患者への非薬物療法として反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation;rTMS)療法の有用性と維持療法での検討結果について、第18回日本うつ病学会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会(7月8~10日、ウェブ併催)で発表...
5つの生活習慣を記録、双極性障害に有効
双極性障害の治療は薬物療法が基本となるが、1年で約4割、5年で約7割という高い再発率が報告されるなど課題は多い(Am J Psychiatry 1995; 152: 1635-1640)。そうした中、対人関係・社会リズム療法(IPSRT)は、特に双極性Ⅱ型障害のうつ症状に対して単独でクエチアピン投与と同等に躁転リスクを抑制する抗うつ効果が実証されているが(Bipolar Disord 2012; 14: 211-216)、国内では時間的に臨床での実施が難しいという声がある。東京歯科大学市川総合病院精神科准教授の宗未来氏は、IPSRTを開発した米・ピッツバーグ大学の公式指導を受けた経験から、対人関係療法(IPT)および社会リズム療法(SRT)の併用を必ずしも"必要十分"と考えるのではなく、まずは5つの生活事項を記録するSRTだけでも...
ケタミンが治療抵抗性うつ病の有力な選択肢に
治療抵抗性うつ病(TRD)に対する有効性が報告され、新たな治療選択肢として注目される麻酔薬のケタミン。杏林大学精神神経科学教室の櫻井準氏は、第18回日本うつ病学会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会(7月8~10日、ウェブ併催)で、即効性があり、希死念慮に対する有効性も明らかになっている同薬の有効性や安全性、米国での使用状況などについて報告した。懸念が指摘されていた幻覚や妄想、依存性などの副作用に関しては...
うつ病への認知機能リハ介入、効果は?
認知機能障害は高齢者の認知症以外に働き盛りの若年、中壮年世代の精神疾患で見られ、とりわけ患者数が多いうつ病において積極的な治療が望まれる。北海道大学医学研究院神経病態学分野精神医学教室特任研究助教の豊巻敦人氏は第18回日本うつ病学会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会(7月8~10日、ウェブ併催)で、うつ病に対する認知機能改善介入の効果や、推奨される認知機能リハビリテーション(cognitive remediation therapy;CRT)に...