不整脈治療におけるペースメーカの推奨は?
2019年3月に公表された『不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)』(2018年版GL)から、最新の知見やエビデンスを踏まえ一部改訂されたフォーカスアップデート版が発表された。フォーカスアップデート版作成班班長で近畿大学病院心臓血管センターセンター長の栗田隆志氏は、心臓ペースメーカに関する改訂点など...
心房細動合併PCI患者の至適薬物療法を展望
心房細動(AF)を合併した経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行患者に対する抗血栓療法においては、出血リスクを十分に考慮する必要がある。日本循環器学会の『2020年 JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法』(以下、アップデート版GL)では日本版高出血リスク(HBR)評価基準を踏まえた抗血栓療法の推奨が示されたが、その後も抗血栓薬の選択や投与期間について複数の臨床研究が進められている。佐賀大学循環器内科講師の夏秋政浩氏は...
収載間近?変わりゆく補助人工心臓治療
日本における植え込み型左室補助人工心臓(LVAD)治療は、心臓移植を目指す重症心不全患者を対象に移植までの暫定的な橋渡し治療(BTT)として保険適用されている。しかし、2020年12月に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で「心臓移植不適応の重症心不全患者に対しても、長期的なQOLや予後改善を目的に行うDestination Therapy(DT)の保険承認が妥当である」との見解が示され、近く保険収載される見込みとなった。こうした流れを受け、九州大学大学院循環器内科学の肥後太基氏は、...
胸部X線検査+AIで心不全の診断能向上
人工知能(AI)の活用は、医療界でも進んでいる。徳島大学循環器内科と帝京大学診療放射線学科は、心不全(HF)診断を目的とした共同研究で、胸部X線検査にAIを活用した診断モデルを作成。その有用性について、徳島大学病院超音波センターの平田有紀奈氏が...
血管内視鏡で大動脈解離の徴候を早期発見!
急性大動脈解離は致命的な転帰をもたらしうるため、発症早期から慢性期にわたりその状況を把握し、破裂などが発生する前に診断する必要がある。しかし、CTを用いた画像検査による診断は困難である。大阪暁明館病院(大阪市)特別顧問の児玉和久氏、同院心臓血管病センターセンター長の小松誠氏は、血流維持型汎用血管内視鏡(Non-obstructive General Angioscopy;NOGA)により、急性大動脈解離の徴候となる多様な大動脈プラークや所見が確認できたことを...
AIを活用した未来のスマート治療室
近い将来、人工知能(AI)が手術をサポートする時代が来るかもしれない。東京女子医科大学先端生命医科学研究所脳神経外科教授の村垣善浩氏は、AIを活用したスマート治療室「SCOT®(Smart Cyber Operating Theater)」について、第85回日本循環器学会(3月26~28日、ウェブ併催)で...
心房細動合併HFpEF、アブレーションが有効
左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)に心房細動(AF)を合併する割合は、欧米では20~30%程度とされるが、日本では60%超と多い(Circ J 2018; 82: 1534-1545)。合併例は予後が悪化するが(J Am Coll Cardiol 2006; 47: 1997-2004)、治療法に関する報告は限定的という課題がある。大分大学循環器内科・臨床検査診断学講座の福井暁氏らは、AFに対するカテーテルアブレーション...
心リハGLが改訂、栄養・食事療法も記載
運動・食事療法などを通じて心血管疾患(CVD)の再発を予防し、患者のQOL向上と長期予後改善を目指す心臓リハビリテーション(心リハ)。近年、日本では高齢心疾患患者の増加に伴い、心リハによる長期介入の重要性が高まっている。そこで、日本循環器学会と日本心臓リハビリテーション学会は既存のガイドライン(以下、2012年版)を改訂し、『2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』(以下、2021年版)を策定。合同研究班班長を務めた埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科教授の牧田茂氏が...
心不全患者の全人的苦痛を評価すると?
心不全は進行性で予後不良の疾患であり、呼吸困難や倦怠感などの身体症状および抑うつ、不安などの精神症状を呈し、QOLが著しく低下することが指摘されている。心不全の管理を行うに当たっては、身体症状や精神心理的苦痛といった全人的苦痛のスクリーニングが重要となるが、これまで心不全患者の心身を含めた状態を総合的に評価するケースは少なかった(Circ J 2020; 84: 584-591)。そこで国立病院機構京都医療センター循環器内科の濱谷康弘氏は、患者の状態を包括的に評価する尺度である、Integrated Palliative care Outcome Scale(IPOS)を用いて心不全入院患者を...
高齢患者の薬物治療、どう見直す?
加齢に伴ういわゆる老年症候群に対する多剤併用療法は、処方カスケードを引き起こす原因の1つとなる。三重ハートセンター(三重県)薬局長の高井靖氏は、第85回日本循環器学会(3月26~28日、ウェブ併催)で抗コリン作動薬と鎮静薬が患者QOLに及ぼす影響や処方カスケードの問題点について...
女児のブルガダ、思春期以降に心電図が改善
ブルガダ症候群は特徴的なST変化を示す遺伝性不整脈の一種で、睡眠中に突然死を来すこともある。アジア人男性に多く、成人では2,000人に1人の頻度とされているが、小児での発症はまれである。京都大学大学院循環器内科の今村知彦氏は日本人小児におけるブルガダ症候群の特徴について調査した結果を、第85回日本循環器学会(3月26~28日、ウェブ併催)で発表。「11歳以上では明らかに男性優位であるものの10歳以下では男女差はなく、女性では成長して思春期になるとcoved型から正常型に心電図が改善する症例が存在することが分かった。...
成人先天性心疾患の実態を調査
100人に1人の割合で発見される先天性心疾患(CHD)には、心房中隔欠損、心室中隔欠損、ファロー四徴症、完全大血管転位症、房室中隔欠損症、修正大血管転位症、アイゼンメンジャー症候群などがある。筑波大学循環器内科准教授の石津智子氏は、循環器疾患診療実態調査(JROAD)-診断群分類包括評価(DPC)データベースを用いて成人CHD患者の入院の実態について解析。その結果を第85回日本循環器学会(3月26~28日、ウェブ併催)で発表し、「成人CHD入院患者では緊急入院が全体の4分の1超を占め、6年間で2.6倍超に急増している。緊急入院の原因となった...
最新!心房細動と治療用デバイスの推奨内容
『不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)』(以下、2018年版GL)の公表以降に得られた最新の知見やエビデンスを踏まえ一部改訂した、2018年版GLのフォーカスアップデート版が発表された。フォーカスアップデート版作成班班長で筑波大学循環器不整脈学教授の野上昭彦氏は、心房細動(AF)の予防や治療などに用いる植え込み型心臓電気デバイス(CIED)、カテーテルアブレーション、左心耳閉鎖デバイスに関する改訂点を...
急性・慢性心不全診療GLの改訂点
2018年3月公表の『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』(以下、2017年版GL)から、最新の知見やエビデンスを踏まえ一部改訂されたフォーカスアップデート版の内容が明らかになった。フォーカスアップデート版作成班班長で九州大学大学院循環器内科学教授の筒井裕之氏は、...
日循2021、注目トピックは?
第85回日本循環器学会学術集会が、3月26〜28日に横浜市で開催される。これに先立ち、同学会は昨日(3月11日)報道関係者向けのプレカンファレンスを実施。今学術集会の会長を務める奈良県立医科大学循環器内科教授の斎藤能彦氏が見どころを説明した。なお、今年(2021年)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を考慮し、実地とウェブ配信を組み合わせたハイブリッド形式を..