心房細動アブレーション、日本の最新状況
日本ではここ数年、カテーテルアブレーションの件数が年間10万件を超えている。東京慈恵会医科大学病院循環器内科教授の山根禎一氏らは、全国多施設前向き観察プロジェクト日本カテーテルアブレーション(J-AB)レジストリの中間解析を実施。その結果、日本における心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション(AFアブレーション)の現状、施行件数と治療成績との関連、地域差が明らかになったと、第68回日本不整脈心電学会(6月8~11日)で発表した。...
日本人の低心機能心不全、予後改善か
植え込み型除細動器(ICD)は、心室頻拍(VT)・心室細動(VF)による突然死の予防目的に使用されるが、日本では使用率が低く(54台/100万人)、上昇の兆しは見られない。筑波大学名誉教授/水戸済生会総合病院(水戸市)循環器内科最高技術顧問の青沼和隆氏は、ICDによる心臓突然死予防効果を検証するHINODE研究を実施。ICD/両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器(CRT-D)の適応を現行の日本循環器学会(JCS)ガイドラインより拡大することで、多くの日本人心不全症例の予後が改善する可能性があると第68回日本不整脈心電学会(6月8~11日)で発表した。なお、研究の詳細はESC Heart Fail(2022; 9: 1584-1596)に掲載...
電気的ストームへの抗頻拍ペーシングは有効
電気的ストーム(electrical storm;ES)は、短期間に心室性不整脈を繰り返し、24時間以内に複数回の植え込み型除細動器(ICD)による抗頻拍ペーシング(ATP)や除細動(ショック治療)が必要となる病態である。日本医科大学循環器内科学の林洋史氏らは、多施設共同前向き観察研究Nippon Storm Studyの登録患者のうち、ES症例を対象としたサブグループ解析を実施。ES治療においてATPが予後改善に寄与したとする結果を、第68回日本不整脈心電学会(6月8~11日)で発表した。...
アブレーション合併症は年齢、低体重に留意
サルコペニアの推定有病者数は男性132万人、女性139万人と少なくない。横須賀共済病院(神奈川県)循環器内科部長の田中泰章氏は、同院でカテーテルアブレーションを施行された心房細動患者6,451例を対象に、高齢者やサルコペニアの可能性が高い症例に関する安全性と有効性を評価。その結果、高齢者へのカテーテルアブレーションは有効だが、加齢に伴い合併症リスクが上昇すること、高齢者における低体重は合併症の危険因子ではないが、非高齢者では心タンポナーデのリスクが上昇することが示されたと、...
左心耳閉鎖デバイスの市販後調査が明らかに
WATCHMAN左心耳閉鎖デバイスは、非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中予防を目的とした左心耳閉鎖術の低侵襲治療法に使われる医療機器で、2019年9月に保険収載された。千葉大学大学院医学研究院循環器内科学准教授の近藤祐介氏は、同デバイスの製造販売後調査(PMS)の結果を第68回日本不整脈心電学会(6月8~11日)で発表した。なお、同デバイスは現在、新世代の「FLX」が用いられているが、今回のデータは旧世代の「generation-2.5」のものとなっている。...
80代への心房細動アブレーションは安全かつ有効
肺静脈隔離術(PVI)は症候性心房細動の一次治療として確立されているが、超高齢患者におけるエビデンスは十分とは言い難い。日本医科大学病院循環器内科講師の淀川顕司氏らは、同院の80歳以上の心房細動患者108例を対象に、心房細動に対するアブレーションの有効性および安全性を検討。その結果、1年後の洞調律維持率は73.6%で、合併症は2.7%に生じたが、いずれも後遺症なく退院に至ったことから、安全かつ有効だと、...