MAFLDは慢性腎臓病の独立した危険因子
日本では食生活の欧米化などによる肥満の増加に伴い、脂肪肝の有病率が上昇している。2020年には肥満や糖尿病などの代謝異常が関わる新たな脂肪肝の疾患概念として代謝異常関連脂肪肝疾患(metabolic dysfunction-associated fatty liver disease;MAFLD)が提唱された。MAFLDの予後や合併症などの解明が急がれる中、札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の田中希尚氏、同講座講師の古橋眞人氏らの研究グループは、慢性腎臓病(CKD)とMAFLDとの関連について検討。MAFLDがCKD発症の独立した危険因子であること、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)より高精度にCKD発症を予測する指標になりうることを、第65回日本腎臓学会(6月10~12日)で報告した。...
MR拮抗薬が糖尿病合併CKDの心腎を保護
心不全と腎機能障害が負のスパイラルを描く心腎連関。心臓と腎臓の双方に病的な状態を抱える2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)例や糖尿病性腎症(DKD)例では両臓器を積極的に保護する治療が求められる。心腎保護効果をいち早く示したSGLT2阻害薬の衝撃は記憶に新しいが、最近注目を集めているのがミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬である。佐賀大学循環器内科主任教授の野出孝一氏は第65回日本腎臓学会(6月10~12日)で、心腎連関におけるMRの役割を解説、併せて2型糖尿病合併CKD例におけるMR拮抗薬による心腎保護の最近のエビデンスを紹介し、同薬の新たな臨床的役割に期待を示した。...
慢性腎臓病、実臨床でGLの推奨が実践されず
診療ガイドラインなどで推奨される標準治療と実際に行われている日常診療には隔たりがあり、これをevidence-practice gap(EPG)という。香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科学講師の祖父江理氏は、全国の大学病院で診療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者約3万5,000例を対象とした大規模データを用いて、CKDの合併症として出現する貧血、尿酸値異常、電解質異常の日常診療での管理状況を評価。第65回日本腎臓学会(6月10~12日)で解析結果を報告し、「CKD診療ガイドラインで推奨される治療が日常診療では必ずしも実践されていない実態が判明した。...
腎移植を受けた医師が語る「患者の声が持つ力」
「自分自身の疾患をめぐる経験、医療と医療スタッフに対して今後期待することを、患者さん自身の言葉で存分に語っていただく場を設けたい」−。第65回日本腎臓学会総会長を務める神戸大学大学院腎臓内科学教授の西慎一氏肝入りの総会長特別企画「慢性腎臓病(CKD)患者さんの声に耳を傾けてみよう」では、生体腎移植を受けた経験を持つ腎臓内科医で佐久総合病院(長野県)腎臓内科副部長の村上穣氏が登壇。自身の疾患をめぐるさまざまな葛藤から見いだした患者の声が持つ力と、これからの医療および臨床研究が目指すべき患者の力を生かした医療者との協働について述べた。...
脈拍数の多さとCKD新規発症が関連
一般集団や慢性腎臓病(CKD)患者、透析患者において、安静時心拍数の多さは死亡リスクと関連することが報告されている。しかし、心拍数とCKD発症との関連性については明らかでない。福島県立医科大学腎臓高血圧内科学講座の齋藤浩孝氏らは、CKDの発症リスクとなる慢性疾患を有する患者を対象に脈拍数とCKD発症の関連性を検討した結果、脈拍数の多い群では発症リスクが1.4倍だったと第65回日本腎臓学会(6月10〜12日)で報告した。...