HFpEFの新たな治療選択法とは?
左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)に対するSGLT阻害薬はLVEFにかかわらず有効である一方、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬はLVEFが55%以上では有効性に乏しい。群馬大学内科学講座循環器内科の小保方優氏は、LVEF分類による治療の選択には限界があると第27回日本心不全学会(10月6~8日)で指摘。治療選択を行う方法として、運動心負荷エコーを用いた個別化治療の可能性を報告した。...
補助人工心臓、症状改善後の移植適応に期待
これまで重症心不全患者に対する植え込み型左室補助人工心臓(LVAD)治療は、心臓移植を行うまでの暫定的な橋渡し治療(BTT)に対してのみ適応とされてきた。しかし、2021年5月に移植医療を目的としない長期在宅補助人工心臓治療(DT)を適応としてLVAD装置HeartMate3が保険収載されたことから、移植非適応患者の治療選択肢が広がっている。...
心不全へのSGLT2阻害薬、早期導入が鍵
SGLT2阻害薬は、RA系阻害薬/ARNI、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)とともに、4つの心不全治療薬(fantastic four)の1つとして左室駆出率(LVEF)が40%以下の心不全(HFrEF)患者の標準治療に用いられており、治療薬を早期導入する治療戦略(Rapid Sequence Strategy)の重要性が指摘されている。また、患者のLVEFをはじめとする背景因子の違いによる効果の一貫性も注目されている。名古屋大学大学院循環器内科学の近藤徹氏は、SGLT2阻害薬を用いた最新の治療戦略について第27回日本心不全学会(2023年10月6〜8日)で解説した。...
ベルイシグアト、4剤併用時の有効性は?
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬ベルイシグアトは、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験VICTORIAにおいて、標準治療への上乗せにより心血管死/心不全入院リスクの有意な低下が示されている。しかし、同試験実施時の標準治療は3剤併用療法で、現在と状況が異なる。富山大学大学院内科学第二の中村牧子氏は、現行の4剤併用療法を施行中のHFrEF患者を対象に、ベルイシグアト上乗せの安全性と有効性を検討。結果を第27回日本心不全学会(10月6~8日)で報告した。...
ARNI、心不全ステージC以上への進展抑制
ステージC以上の心不全(HF)患者に対するアンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)投与によるHF入院の予防効果は確立されているが、ステージA、BのHFに対する有効性のエビデンスは少ない。安城更生病院(愛知県安城市)循環器内科の山口尚悟氏は、ARNIサクビトリルバルサルタン投与がステージA、BのHF患者に及ぼす影響を検討。同薬の投与によりステージC以上への進展および心血管死は認められなかったとともに、臓器保護効果が得られたと第27回日本心不全学会(10月6~8日)で報告した。...
心不全への標準治療、スコア化で導入率上昇
左室駆出率(LVEF)が40%未満の心不全(HFrEF)患者に対しては、診療ガイドラインに基づく標準的治療(GDMT)の導入が重要とされる。しかし、合併症や腎機能低下などさまざまな理由からGDMTが施行できない例がおり、実臨床での導入率は必ずしも高くない。福岡赤十字病院(福岡市)循環器内科副部長の松川龍一氏は、自身が作成したチェックシートやシンプルGDMTスコアを用いたGDMT導入戦略と効果について、第27回日本心不全学会(10月6~8日)で報告した。...