脂肪肝炎マウスの脂肪腎にトホグリフロジンが有効
近年、脂肪性肝疾患に合併する心血管疾患に対する関心が高まりつつある。大阪大学循環器内科の西原紗恵氏、小関正博氏は「食餌誘導性脂肪肝炎マウスの肝臓および腎臓において脂質の蓄積と炎症が惹起されており、スタチンにペマフィブラートを併用投与したところ、肝臓では遊離コレステロールの減少や肝線維化の抑制などが示された。また腎臓では、SGLT2阻害薬トホグリフロジンの投与により、特に尿細管細胞における脂肪滴や腎のコレステロール、遊離脂肪酸が減少し、"脂肪腎"を改善させた」と第60回日本肝臓学会(6月13~14日)で報告した。...
ペマフィブラートに肝臓の炎症抑制効果
代謝性の肝疾患であるmetabolic dysfunction-associated fatty liver disease〔MAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の代用語〕の併存疾患として、2型糖尿病とともに高頻度に認められるのが高トリグリセライド(TG)血症である。香川大学消化器・神経内科学講師の森下朝洋氏は高TG血症を合併したMAFLD患者140例を対象に、脂肪肝の改善効果が期待されている高脂血症治療薬ペマフィブラートの有用性を検討。その結果、同薬に肝臓の炎症抑制効果が示唆されたと第60回日本肝臓学会(6月13〜14日)で報告した。...
SGLT2阻害薬で糖尿病の脂肪肝と肝線維化が改善
久留米大学消化器内科部門の中野暖氏は、2型糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬ルセオグリフロジンが糖尿病患者における肝内脂肪指数(Fatty liver index;FLI)、肝線維化指数(Aspartate aminotransferase to platelet ratio index;APRI)、血清アルブミン値に及ぼす影響を検討するため、第Ⅲ相臨床試験5件・493例を対象にプールメタ解析を実施。その結果、投与から24週時点でルセオグリフロジン群は対照群に比べ、肝内脂肪指数、肝線維化指数、血清アルブミン値のいずれも有意に改善したと、第60回日本肝臓学会(6月13~14日)で報告した。...
MASLDにSGLT2阻害薬は効く?鍵は飲酒量
SGLT2阻害薬は糖尿病、心不全、腎疾患への有効性が確立されているが、代謝性肝疾患であるMASLD〔非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の代用語〕に対する有効性については十分なエビデンスがない。そこで労働者健康安全機構大阪労災病院(堺市)消化器内科医長の倉橋知英氏は、同院においてSGLT2阻害薬を投与したMASLD患者366例を対象に同薬の有効性を検討。患者の飲酒量が有効性に影響を及ぼすことが示されたと、第60回日本肝臓学会(6月13~14日)で発表した。...
慢性肝疾患、短期指導での断酒成功率は13%
佐賀大学病院肝疾患センター管理栄養士の原なぎさ氏は、アルコール使用障害同定テスト(AUDIT)の合計スコアが8点以上で問題飲酒者と判定された慢性肝疾患患者に対する減酒指導の実態について、多施設共同縦断研究で検討。減酒指導は全体の84%に実施されていたが、うち減酒薬ナルメフェンの併用割合はわずか7%で、平均9カ月間の減酒指導により断酒に成功した割合は13%にとどまったと第60回日本肝臓学会(6月13日~14日)で発表した。...