最新GL、脳梗塞・TIAの改訂ポイントは
2021年に全面改訂された『脳卒中治療ガイドライン』(以下、2021年版GL)の刊行から2年。昨年(2023年)8月に、追補版となる『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕』(以下、2023年版GL)が刊行された。全7章のうち第2章「脳梗塞・TIA」の改訂を主導した東京慈恵会医科大学内科学講座脳神経内科教授の井口保之氏はSTROKE 2024(3月7~9日)で、5項目の改訂ポイントについて解説した。...
脳梗塞の10年生存率33%、長期生存の要因は?
脳梗塞について、発症10年後の予後に関する報告は少なく課題が残る。近江八幡市立総合医療センター(滋賀県)脳神経内科主任部長の松尾宏俊氏はSTROKE 2024(3月7~9日)で、自施設における脳梗塞発症10年後の予後について報告。10年生存率は33%であり、長期生存に影響する要因として発症時年齢、病型などを挙げた。また、慢性期の診療を考える上で、データを円滑に収集できるシステム構築の必要性を強調した。...
脳梗塞・失語症から回復した医師の軌跡
55歳のときに脳梗塞を発症し、失語症を来した経験を持つ陸前高田市広田診療所(岩手県)所長の坪井潤一氏は、自身の担当医である岩手医科大学病院脳神経内科・老年科教授の板橋亮氏、回復期のリハビリテーションを担当したいわてリハビリテーションセンターリハビリテーション科・脳神経内科センター長の佐藤義朝氏とともにSTROKE 2024(3月7~9日)のシンポジウム「心臓血管外科医が脳梗塞になって~自ら実践した急性期の失語症リハビリテーション~」に登壇。自身の失語症の模様や自主トレーニングについて話した。...
がん関連脳梗塞に対するヘパリンの効果と意義
がんに合併する特殊な「がん関連脳梗塞(Cancer-Associated Stroke;CAS、トルソー症候群)」が近年、増加傾向にある。千葉県がんセンター脳神経外科主任医長の長谷川祐三氏はSTROKE 2024(3月7~9日)で、CASに対する治療薬の全生存(OS)延長効果を検討した結果を発表。上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の肺がん患者におけるヘパリンの効果について、注目すべき結果が得られ一定の意義が示されたという。...
アンデキサネット アルファが血腫増大を回避
アンデキサネット アルファは、直接作用型第Xa因子阻害薬特異的中和薬で、日本では2022年3月に承認された。弘前脳卒中・リハビリテーションセンター(青森県)内科部長の齋藤新氏はSTROKE 2024(3月7~9日)で、同センターにおける第Ⅹa因子阻害薬投与下脳内出血例に対するアンデキサネット アルファの臨床成績を報告。「アンデキサネット アルファは、第Ⅹa因子阻害薬投与下脳内出血の血腫増大を回避した」と述べた。...
もやもや病の治療戦略、多施設前向き研究が鍵
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は小児や若年成人に好発する原因不明の疾患であり、頭蓋内に進行性の動脈狭窄を生じる。標準治療は頭蓋外の動脈を頭蓋内に吻合する血行再建術(バイパス術)で、種々の手法が考案されてきたが、病態に関連する因子や進行の予防法は明らかでなく、病理学的解明が求められている。東京医科歯科大学脳神経機能外科学の原祥子氏らはSTROKE 2024(3月7~9日)で、もやもや病における治療戦略の現状と展望について解説。「よりよい治療選択肢を確立するためには多施設前向き研究の実現が鍵だ」と訴えた。...
睡眠呼吸障害から脳卒中リスクを予測
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)をはじめとする睡眠呼吸障害の患者は重篤な心血管疾患を発症しやすいことが報告されているが、日本の脳卒中診療において睡眠呼吸障害の認知度は必ずしも高くない。獨協医科大学埼玉医療センター脳神経内科准教授の赤岩靖久氏らは、自施設の脳ドック受診者を対象にOSAと無症候性脳血管障害および認知機能との関連を検討。解析の結果、「OSAと脳卒中の危険因子である大脳白質病変に有意な関連が認められた」とSTROKE 2024(3月7~9日)で報告し、OSAを評価することで脳卒中リスクを予測できるとの展望を示した。...
脳卒中GL、一次予防と急性期管理の要点解説
昨年(2023年)8月に日本脳卒中学会の『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕』(以下、改訂GL)が刊行された。大阪公立大学大学院脳神経内科学教授の伊藤義彰氏はSTROKE 2024(3月7~9日)で、改訂GLにおける脳卒中の発症(一次)予防および急性期管理を解説。前版からの主な変更点として、早期心房細動(AF)に対するリズムコントロール(洞調律維持)の有用性などに関する推奨に言及した。...